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『リバーズ・エッジ』

 
       

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作品データ
制作年・国 2018年 日本 
上映時間 1時間58分
監督 行定勲
出演 二階堂ふみ、吉沢亮、上杉柊平、SUMIRE、土居志央梨、森川葵他
公開日、上映劇場 2018年2月16日(金)~TOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズ渋谷、TOHOシネマズ上野、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、池袋HUMAXシネマズ、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸ほか、全国順次ロードショー

 

特異とは言い切れない、
それぞれの青春像がじわじわとしみてくる

 

漫画界における伝説となった岡崎京子の『リバーズ・エッジ』が、発表から20年以上たってこのたび実写映画となって登場した。青春という、ある種特別な時期からずいぶん遠く離れてしまった者としては、ここに描かれている事柄に格別驚かされることはなく、かといって、「そうそう!」と単純に共感するわけでもない。ただ想うのだ、「ああ、青春やなァ」と。どんなに時代が移り変わろうが、人それぞれにどんなに境遇が違っていようが、子どもからおとなへと成長してゆくあの特別な時期だけに現れる輝き、そしてそれとは裏腹の失意や虚しさの影に揺さぶられたのだった。


riversedge-500-1.jpg高校生のハルナ(二階堂ふみ)には、自信過剰で暴力的な行動に出るボーイフレンドの観音崎(上杉柊平)がいるのだが、近ごろ一人の男子学生が気になり始めた。それは、いかにも気弱でいじめられ役の山田(吉沢亮)である。ある夜、ハルナは山田から「僕の秘密の宝物を教えてあげる」と言われて河原に同行する。そこで見たのは、どこの誰とも知れぬ遺棄された死体だった。「これを見ると勇気が出るんだ」という山田の言葉に驚くハルナだったが…。


riversedge-500-2.jpgイジメなどの暴力行為、セックス、売春、ゲイであること…ハルナの周囲の事柄が、ハルナの心の空き部屋になだれ込んでくる。やがて、ハルナは観音崎よりは山田やモデルの仕事をしている少女こずえ(SUMIRE)のほうへと少しずつ歩み寄っていく。けして忘れられないだろう傷みを登場人物たちに与えながら、物語は厳しい寒さの後の春の気配をかすかに感じさせるような場所へと最後に着地する。


riversedge-500-3.jpgいま、若手女優の中でひときわ強い存在感を放つ二階堂ふみが場面を支配している。学校を基準とした狭い世界の中で揺れ動き、価値観の異なる学友たちに影響されてもがきながら、それでも在るべき自分を見つけ出したいと願うハルナの像を鮮やかに彫り出していると思う。行定勲監督は、一つのチャレンジとして、間にインタビューのシーンを挟み込んだのだが、これが功を奏したとはあまり感じられないのは残念だ。創造的な作品を生み出そうとするにあたって、いわゆる“説明”がプラスに作用することはほとんど無いことを思うと。


彼ら若者の日常が過激だと思うのか、いやいや今はもっとススンデイルヨと言いたくなるのか、人それぞれだろうが、それでもやはり私は「ああ、青春やなァ」というつぶやきを繰り返したくなるのだ。


(宮田 彩未)

公式サイト⇒ http://movie-riversedge.jp/

(C)2018映画「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社