原題 | Mein Blind Date mit dem Leben |
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制作年・国 | 2017年 ドイツ |
上映時間 | 1時間51分 |
監督 | マルク・ローテムント |
出演 | コスティア・ウルマン、ヤコブ・マッツェンツ、マリア・ミューエ、ヨハン・フォン・ビューロー、ニラム・ファルーク、アレクサンダー・ヘルト、キダ・コドル・ラマダン、シルヴァナ・クラパチ他 |
公開日、上映劇場 | 2018年1月13日(土)~新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、そのほか全国順次ロードショー |
夢をかなえるための情熱が、
“ありえな~い!”を超えるサクセスを呼んだ!
これが実話だとは信じられないほどの快挙だ。「強く思えば、夢は実現する」という言葉を聞いた時、「ホンマかいな?」と思っていたが、もちろん思うだけではダメで、強い意志に加え、継続される実践がなければそんなに簡単に夢はかなわない。けしてあきらめず、粘り強く、周囲の雑音などに絶対負けずに、だ。
主人公のサリー(コスティア・ウルマン)は、一流のホテルマンになることを願う明るい青年。スリランカ人の父、ドイツ人の母、弟思いの美しい姉との四人暮らしだ。ところがある日、何だか視界がぼやけて見えることにサリーは気づいた。病院での検査で、先天性の病気による網膜剥離と診断されて手術を受けるが、健康な人の5パーセントの視力しか戻らなかった。障がいのある人が通う学校へ行け、ホテルマンの夢はあきらめろ、という周囲の声に抗って何とか学校を卒業、次なるチャレンジはミュンヘンにある5つ星ホテルの研修生として働くことだったが…。
たった5パーセントになった視力を補うため、彼は聴覚、嗅覚、味覚など他の感覚をフルに駆使すると共に、暗記力をも動員する。それでも、ベッドメイキングをはじめテーブルセッティング、フロントでの応対、料理の補佐やカクテル作りなど、ホテルマンとしてマスターすべき仕事はあまりに多岐にわたり、視覚に問題があればほとんど不可能ではないかと思えるようなものばかり。大きな怪我をする、あるいは命を落としていたかもしれないというほどの無謀な挑戦なのだから。さらに、鬼の教官が彼の所作を批判的に凝視している。サリーがこの困難な状況をどのようにして突破していくのかが、この映画の最大の見せどころだ。
邦題のサブタイトル「嘘から始まる素敵な人生」については、サリーの為に弁護したくなる。彼はけして嘘をついていたわけでなく、隠していただけなのだから。隠し通すために強力な助っ人となったのが、同じ研修生のマックス(ヤコブ・マッツェンツ)だ。最初は軽いノリのええ加減な男に見えたのだが、この人、すごくイイ奴で、サリーの窮状を知った後、ライバルを蹴落としてやろうというような気はサラサラなく、陰になり日向になり、自分の時間を惜しむこともなくサポートしてくれるのだ。一方で、サリーの父親のあきれるような冷たさが物語に影を落とす。それでも、サリーの恋のお話も絡み合って、お待ちかねのハッピーエンドへとなだれ込んでいくところは爽快である。夢をあきらめかけている人、困難な状況にある人に、力強いエールを送ってくれるような“ええお話”だと思う。
(宮田 彩未)
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