原題 | Le coeur en braille |
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制作年・国 | 2016年 フランス |
上映時間 | 1時間29分 |
原作 | パスカル・ルテール「LE CŒUR EN BRAILLE 」 |
監督 | 監督:ミシェル・ブジュナー 脚本:ミシェル・ブジュナー/アルフレッド・ロット |
出演 | アリックス・ヴァイヨ、ジャン=スタン・デュ・パック、シャルル・ベルリング、パスカル・エルベ、アントワーヌ・コールサン、イラン・レヴィ、ノア・レヴィ、マックス・ガラン=ブーレグ他 |
公開日、上映劇場 | 2017年12月16日(土)~新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA、2018年1月6日(土)~シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、そのほか京都シネマなど全国順次ロードショー |
ある秘密を抱えた少女と、
彼女に恋心と精一杯のエールを送った少年の“ええ話”
12歳の少年ヴィクトール(ジャン=スタン・デュ・パック)は、同じクラスの優等生美少女マリー(アリックス・ヴァイヨ)のことが気になって仕方がない。彼女の後をそっとついて歩くなど、ほとんどストーカーに近い。だけど、劣等生のレッテルを貼られているヴィクトールにとって、マリーは高嶺の花。秀才でハンサムな同級生ロマン(マックス・ガラン=ブーレグ)が気を引こうとしても冷たくあしらうマリーだから、自分なんてとても無理だと思っている。ところがある日、マリーから「勉強を手伝ってあげるわ」という思いがけない提案が!天にも昇る心持ちになるヴィクトールだったが、実はマリーには他人に知られたくない秘密があった…。
純なヴィクトールと、策略がらみで(それは悲しい運命に起因するのだが)彼に近づいてくるマリー。彼女の本心を知って衝撃を受けながらも、力になろうとするヴィクトールは、少年ながらも“騎士”のようだ。そして、その一生懸命さは少女の心を融かし、周囲の大人たちをも変えてゆく。
ヴィクトール役のジャン=スタン・デュ・パックがキュートだ。今はこの世にいないけれど、名作『小さな恋のメロディ』で、ひょうきんで友達思いの少年を演じ、くりくりとした表情豊かな大きな目のジャック・ワイルドを思い出した。マリー役のアリックス・ヴァイヨはフランスでは天才的ヴァイオリニストと目されているらしいが、本作では猛特訓したチェロを聞かせてくれる。
少年少女たちの会話は、どことなく大人っぽくて、さすが恋の国・フランスらしいエスプリに彩られている。ヴィクトールがマリーをそっと見つめるその視線からは、初々しい恋のエッセンスが放たれているようで、「ああ、そういう瞬間があったなあ」と、遠い日の胸の高鳴りがふとよみがえってきたりもする。人物の造形も鮮やか。ヴィクトールの相棒ともいえるメガネ少年の、ことわざを多用しながらあたりの空気を柔らかくするキャラはなかなかイイし、全く対照的なオヤジたちのそれぞれの個性もきっちりと伝わってくる。『赤ちゃんに乾杯!』や『レ・ミゼラブル』など俳優として活躍してきたミシェル・ブジュナー監督の、秀でた手腕をしっかりと受け止めた。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ https://hajimari-bmg.com/
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