原題 | The Zookeeper’s Wife |
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制作年・国 | 2017年 アメリカ |
上映時間 | 2時間7分 |
監督 | ニキ・カーロ |
出演 | ジェシカ・チャステイン、ダニエル・ブリュール、マイケル・マケルハットン、ヨハン・ヘルデンブルグ他 |
公開日、上映劇場 | 2017年12月15日(金)~TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズスカラ座/みゆき座、TOHOシネマズ新宿、渋谷シネパレス、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、池袋HUMAXシネマズ、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、シネ・リーブル神戸ほか、全国順次ロードショー |
自分のことよりも他者の苦難に心を寄せた、
信念の闘いが胸を熱くする!
『シンドラーのリスト』や『杉原千畝 スギハラチウネ』など、ナチスに命を奪われようとしたユダヤ人を救った人の実話はこれまでも映画化されてきたが、ここにまたひとつ、自らの危険を冒してまでも同様の行動に出た夫妻の物語が加わった。ワルシャワ動物園を営んでいたジャビンスキ夫妻が主人公。彼らは動物園の地下に300名を匿って助け出したという。
舞台は、ポーランドのワルシャワ。ドイツがポーランドに侵攻した1939年、ヤン(マイケル・マケルハットン)とアントニーナ(ジェシカ・チャステイン)が営む動物園に、ヒトラー直属の動物学者・ヘック(ダニエル・ブリュール)が訪れる。戦時下だから、大切な動物たちを助けよう、希少動物を守ろうと体のいい言葉でアントニーナを安心させたヘックだが、態度を豹変させ、園内の動物たちを射殺するという暴挙に出る。また、多くのユダヤ人がゲットーに送り込まれてゆく現状に大きな危機感を覚えた夫妻は、ユダヤ人を救うため、“豚のえさ”に着目した奇策を思いつく…。
この救出作戦の展開にはほんとにドキドキハラハラさせられる。ゲットーはもちろんのこと、動物園内でも時間帯によってドイツ兵の監視の目が光っている。発覚すれば、どういう事態を招くか、それをわかった上での命がけの行動なのだ。じっくりと考えて欲しい。特に縁故があるわけでもない人々を、このように窮地から救えるだろうか。正義感だけから、このように勇気ある行動ができるだろうか。夫妻が救った人の数は300名、杉原千畝やシンドラーに比べて少ないけれど、数の問題ではない。自分にとって得か損かを頭に置いて生きている人とは対極にある奇跡といえるだろう。
物語が進むにつれ、アントニーナはどんどん強くなっていく。ヘックの横恋慕に対する態度、同志ともいえる愛する夫ヤンに対する態度…。それは、この救出作戦にかけた彼女の信念が強くなっていくのに比例する。人の行動が人の信念を鍛え、人の信念が人の行動をより大きく飛翔させるのだ。ジェシカ・チャステインといえば、これまでの出演作品でけっこう“強い女”をアピールしてきたような印象があるが、本作ではタフでソフトな両面を併せ持ったヒロイン像を鮮やかに体現した。個人的に好きなダニエル・ブリュールは、『ヒトラーへの285枚の葉書』に続き、またもやヒトラー信奉者の役柄だけど、嫌みな雰囲気を漂わせる好演ぶりだ。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://zookeepers-wife.jp/
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