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『先生! 、、、好きになってもいいですか?』

 
       

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作品データ
制作年・国 2017年 日本
上映時間 1時間53分
原作 河原和音「先生!」集英社文庫コミック版
監督 三木孝浩
出演 生田斗真、広瀬すず、竜星涼、森川葵、健太郎、中村倫也、比嘉愛未、八木亜希子、森本レオ他
公開日、上映劇場 2017年10月28日(土)~大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、OSシネマズミント神戸、Tジョイ京都他全国ロードショー
 

~初恋の相手、先生に真っ直ぐな思いを伝え、傷つき、愛を知る女子高生の3年間~

 
『ちはやふる』『チア☆ダン ~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』では、元気ハツラツとした部活の中心人物となる女子高生を、『怒り』『三度目の殺人』では事件のせいで暗い影を宿す女子高生を演じ、いずれも圧倒的な存在感を見せた広瀬すず。そんな彼女の実は初挑戦となるのが恋愛映画だ。初恋の相手が先生という女子高生、響に扮し、奥手な女子高生が成長していく姿を熱演している。響が好きになる伊藤先生を演じるのは、『僕らが本気で編むときは、』でトランスジェンダーの女性役を演じ、新境地を開いた生田斗真。目が離せない二人の“禁断の恋”は、恋愛映画の名匠、三木孝浩監督の手にかかると、どこまでもピュアで、切なくて、最後は温かい気持ちに包まれる。
 
 
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高校の入学式、森本レオ演じる校長の演説の朗々とした響きと、体育館に吹き込む春風の心地よさに、これから新しい生活が始まる響きたちのドキドキ感が滲む。柔らかい光に照らされ、眠たそうにあくびをする伊藤。決して目力100%のイケメンではなく、むしろその逆でちょっとくたびれた、肩に力のない、眼鏡の奥では何を考えているか分からないような雰囲気が伊藤というキャラクターを表している。伊藤の眠りを誘った風がピカピカの1年生、響の髪を優しく揺らす。かつての我が子たちの姿を重ねたり、これから始まる決して簡単ではない恋の予兆を感じ、細やかな演出のオープニングから胸がときめく。
 
響を演じる広瀬すずは、三木監督のもと、今までにない新たな魅力を花開かせている。心を持って行かれてしまう可愛さとでも言おうか。ふとした瞬間に「あっ」と心が揺れる様子から、恋に苦悩する様子まで、どこまでもピュアに、ここぞという時には驚くぐらいの強さでその思いを表現。先生に恋をした普通の女子高生のときめきや、真っ直ぐな思いが体全体から伝わってくる。
 
そんな響の思いを前に苦悩する伊藤を生田斗真が物静かに演じ、響への真摯な思いが伝わってくる。ささやかなエピソードを通して響の中に特別なものを見出していた伊藤の思いは、響目線の物語ではなかなか読み取れない。文化祭でウエディングドレス姿の響を前にした伊藤の「似合ってない」という言葉の裏にある本音を知った時、響も、観ている私たちもこの恋が一方通行ではなかったことに気付くのだ。
 
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恋愛にポジティブな恵(森川葵)、美術の美人教師中島(比嘉愛未)にアプローチをかけ続けている浩介(竜生涼)と、恋に悩む響を励まし、助ける友人たちのキャラクターが豊かに描かれているのも魅力的。岡山の市電のある風景や、印象的なシーンで登場する大きな川にかかる橋は、人を好きになることの喜びや苦しさを教えてくれるこの物語と共に記憶に残ることだろう。最後に流れるスピッツの新曲が、瑞々しい余韻をさらに高めてくれた。
(江口由美)
 
(C) 河原和音/集英社 (C) 2017 映画「先生!」製作委員会