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『不都合な真実2:放置された地球』

 
       

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作品データ
原題 An Inconvenient Sequel: Truth to Power 
制作年・国 2017年 アメリカ 
上映時間 1時間38分
監督 ■監督:ボニー・コーエン、ジョン・シェンク『南の島の大統領沈みゆくモルディブ』■製作総指揮:ジェフ・スコール『スポットライト』『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』、デイヴィス・グッゲンハイム『不都合な真実』(監督)、ローレンス・ベンダー『パルプ・フィクション』『グッド・ウィル・ハンティング』ローリー・デイヴィッド、スコット・Z・バーンズ『不都合な真実』、レスリー・チルコット『不都合な真実』■製作:リチャード・バージ、ダイアン・ワイアーマン『不都合な真実』
出演 アル・ゴア
公開日、上映劇場 2017年11月17日(金)~TOHOシネマズ梅田 ほか全国ロードショー

 

★“地球温暖化”の実態に迫った恐るべきドキュメンタリー★

 

温暖化によって氷が融け、豪雨、酷暑、台風や大洪水が頻発し“地球の最期”がやってくる。一時期流行ったSF映画みたいな設定、展開のドキュメンタリー映画は“本物”だから恐ろしい。


日本人、いや地球上で今日暮らす人ならすでに体験済みに違いない。「今年の夏は暑かった」。「日本各地で“局地的短時間・大雨洪水警報”が何度も出された」。当然、台風も例年より多く、一部では洪水にも見舞われた。ドキュメンタリーは“嘘のない”本物の映像を伝えるものだが、元・米副大統領アル・ゴア氏が伝えるドキュメンタリーは「世界はより深刻な事態に陥っている」ことを容赦なく映し出す。


futugou-500-1.jpg当然のことながら、遠いアメリカの為政者に縁はない。ましてや近年、恐喝まがいの言動で世界を騒がせる“現大統領”には近寄りたくもない。先のオバマ氏には近しいものも感じたが、前任者を否定する現任の姿勢には強い違和感を覚える。だけど、アメリカの為政者にもこういう人がいた、というのが“発見”だった。アル・ゴア元米副大統領の“主張”はハリウッドのスーパーヒーローのように見える。とてつもなく強大な敵を相手に、困難にめげず、全身全霊をかけて戦う、これこそ子供のころから憧れた無敵のヒーロー=スーパーマンの姿ではないか。


futugou-500-2.jpg近年の“異常気象”は尋常じゃない。アメリカでは全米第4の都市、テキサス州ヒューストンを襲った大型ハリケーン「ハービー」は“前代未聞の勢力”とされ、大きな被害をもたらしたことは記憶に新しい。科学者は「気候変動がハービーを悪化させた」と指摘。温暖化→気温上昇→水分蒸発→大気中の湿度上昇→降雨量の増加、と密接な関連性を重視している。温暖化が進行すれば、熱中症死亡者が増えるだけでなく、台風やハリケーン、サイクロンなどの自然災害が増える、という。


「2090年には、温暖化による海面上昇によって、日本の砂浜の85%は水没してしまう」と恐ろしい予測まで出ている。「私たちの子供の時代には、海水浴が出来なくなる、という予測も」姿勢を正して聞かなければならない。


futugou-500-3.jpgアル・ゴア元米副大統領は大学生の頃からライフワークとして数十年にわたり「地球温暖化問題」に取り組み、07年にはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)とともにノーベル平和賞を受賞している。肩書きだけじゃない。アル・ゴア氏は本物の研究者でもあった。彼にはこの問題で“スーパーヒーロー”の有資格者だった。


そんなゴア氏の最初の成果が映画『不都合な真実』(06年)で、この映画は見事アカデミー賞を受賞し、その主張は世界的に認められた。ゴア氏が政治の世界から“未知の領域へと踏み出した”結果だった。「人類を滅亡させる可能性もある地球の気候変動という壮大な課題」に、ゴア氏は自身の持つすべてをかけて挑んだ。


futugou-500-4.jpg温室効果ガスの削減などに何の対策も講じなかった場合、人類は壊滅的な打撃を被る、その脅威が知れわたりはじめ、化石燃料関係の産業の抵抗が激しくなってから10年、『不都合な真実2』でゴア氏は最重要課題として検討している。実際、16年には全世界で再生可能エネルギーへの投資額は史上最高を記録した。


15年の画期的な“パリ協定”は、温室効果ガス削減に向け、世界を一つにした。発展途上国は、石炭燃料を飛び越えて、持続可能な代替燃料を使用するようになってきている。絶望的な失意を乗り越え、人類は新たな道を探ろうとしている。現任者は大事なパリ協定からの“離脱”を表明して多くの人々をさらにがっかりさせたが、ゴア氏は「変化を起こさなければいけないと分かった今、私たちは変化を起こすことができる。その変化は早く起こされるべきである」とより明確に発信している。『不都合な真実2』にはゴア氏の切実な思いが籠められている。


futugou-500-5.jpgことはアメリカだけにとどまらない。日本ではより深刻な事態に陥っているのが明らかだ。今年7月、九州北部で発生した集中豪雨は、1時間で100㍉を超える雨が降り、河川が氾濫、土砂崩れが起こって30人を超える犠牲者が出た。東京では3週間以上も雨が降り続いた。「異常気象」とは“30年に一度”の事象を指すものだが、このところは「毎年、異常気象」と言っても過言ではない、まさしく異常事態。ゴア氏の警告映画よりも早く進んでいる、のだ。アメリカンスーパーヒーロー映画で言えばクライマックスに近づいた続編。世界は警告を受けてどのように変化するのだろうか?


(安永 五郎)

公式サイト⇒ http://futsugou2.jp/

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