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『ドリーム』

 
       

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作品データ
原題 HIDDEN FIGURES 
制作年・国 2016年 アメリカ 
上映時間 2時間7分
監督 セオドア・メルフィ
出演 タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケビン・コスナー、キルスティン・ダンスト、ジム・パーソンズ、マハーシャラ・アリ
公開日、上映劇場 2017年9月29日(金)~TOHOシネマズ(梅田・なんば・くずはモール・二条・西宮OS)、MOVIX京都、OSシネマズ神戸ハーバーランド、ほか全国ロードショー

 

アメリカ宇宙開発を支えた3人の天才数学者の知られざる偉業

 

“ドリーム”というタイトルで3人の黒人女性が登場となると、『ドリームガールズ』みたいなエンタテイメント界の映画と勘違いされるかも知れない。本作は、NASAの職員でさえ知らなかったという、アメリカの宇宙開発事業に多大な貢献をした3人の天才数学者の知られざる偉業を描いた“目からうろこ”の感動作である。黒人差別や女性の社会進出への偏見が根強かった1950年代、男中心の過酷な職場環境の中で、努力を重ね忍耐強く奮闘する彼女たちの活躍は、時代を越え、国境を越えて、絶大な愛と勇気を与えてくれる。白人たちが否が応にも認めざる得ない活躍ぶりが、実に小気味よく爽快なのだ。


dream-500-5.jpgオープニングの通勤途中に車が故障したシーンで早くも3人の黒人女性がどんな人物か見えてくる。高速計算能力の持ち主のキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)に、電子工学が得意なメアリー(ジャネール・モネイ)、そして、黒人女性だけの計算室をまとめるリーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)。ドロシーは機械工学にも強く、故障車を自力で修理。そこへパトカーが通りかかり、不審に思った白人の警官は身分証を呈示させ、彼女らがNACA(NASAの前身)が運営するラングレー研究所で働いていると聞いて不思議がる。


dream-500-2.jpgラングレー研究所の高速計算部門を担う黒人女性グループの中から、キャサリンが宇宙特別研究本部(マーキュリー計画)に参加することになり、ロシアに先を越された有人宇宙飛行の成功を目指すことになる。だが、白人男性ばかりのチームに黒人女性がひとり、トイレも遠くの西棟まで行かなければならず、理不尽な差別に遭う。そんな中、彼女の才能にいち早く気付いたのは責任者のハリソン(ケビン・コスナー)だった。


dream-500-3.jpgいくら優秀でも出世どころか少ない給料で長時間労働を課せられる。一方、ドロシーは、電算部にとって代わろうとする導入されたばかりのIBMコンピューターに目を付け、いち早く計算部全員にソフトウェア開発の勉強を勧める。しかも、白人のエンジニアが苦戦していたコンピューター始動にも成功する。先を見越して努力することを怠らない。難局を生き抜く術はここにあるように思った。


dream-500-4.jpg幼い頃から天才だったとはいえ、南部では、黒人で、しかも女性は大学へ入学すら許されなかった時代、子育てをしながら仕事も家庭も守り、大学院へ進学してさらにキャリアアップをはかり、努力しチャレンジすることを怠らない。そんな彼女たちを優しく見守る家族や友人たち。その明るく前向きな生き方に、爽快な気持ちで心を満たしてくれるアッパレ映画。


(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/

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