制作年・国 | 2016年 日本 |
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上映時間 | 1時間2分 |
監督 | 監督・脚本:青木克齊 |
出演 | スギム、岸井ゆきの、樋井明日香、武田航平、柴田杏花 |
公開日、上映劇場 | 2017年10月7日(土)~10月13日(金)十三シアターセブンにて限定上映 |
その人のパワーが、音楽のエネルギーが、激しく光り輝く
大阪出身、45歳でブレイクし、「今最も危険なアーティスト」、「下ネタのナポレオン」として話題のクリトリック・リスことスギムを主演に、『竜宮、暁のきみ』の青木克齊監督によるヒューマン・コメディ。気鋭の映像作家とアーティストがコラボレーションして、インディーズ映画を輩出する「MOOSIC LAB 2016」で観客賞、審査員特別賞、最優秀男優賞など5部門を受賞。
クリトリック・リスは、ライブでは、パンツ一丁になり、変な器具まで装着して、音楽をバックに、男の本音を赤裸々に語り、叫ぶパフォーマンス。「夢の賞味期限は想像以上に短く、ずいぶん前に腐って捨てた」(「1989」作詞:スギム 作曲:渡辺 清美(CQ))のように、疲れたサラリーマンの心をくすぐる歌詞は、ファンの心をつかみ、ついにメジャーデビューしたとのこと。映画でも、本人そのままの、ハゲの中年ミュージシャンとして登場。目の不自由な少女・梢が交差点で転んだのを助けようと声をかけたところ、梢の友達に痴漢と間違われる。ひょんなことで出会った二人が、ほのかな恋心を抱き、スギムは、梢のためにライブをしようと奮闘する…。
舞台での過激なパフォーマンスとは裏腹に、梢をはじめ、女性達の前では、純情で優しいおじさんでしかないスギム。そのギャップが楽しい。目の見えない少女と変なおじさんの物語は、チャップリンの『街の灯』を思わせ、ラストの川沿いを歩いていく後姿には『モダンタイムス』がかぶる。梢を演じる岸井ゆきのが見事な演技力を披露。中華料理店でいきなり始まる、ライス&ライスのミュージカルはくすりと笑える。
スギムの後輩で、会社員の桐島とスギムとのやりとりがいい。夜の公園で、率直に思いを語りあい、酔ってじゃれあう二人。「桐島 バンドやめるってよ」という映画のタイトルをもじった曲も劇中で披露される。音楽というのは、魂の自由な発露だということを地でいくような、ださかっこいい、超個性派ミュージシャンの“真実一路”をスクリーンに確かめに行ってほしい。最後の迫力あるライブシーンにご注目。
★大阪のシアターセブンでの上映最終日には、スギム本人が舞台挨拶に現れるとのこと。乞うご期待。
(伊藤 久美子)
〔参考楽曲〕
「1989」作詞:スギム 作曲:渡辺清美(CQ)
https://www.youtube.com/watch?v=01KuKC8qPjQ
公式サイト⇒ http://bluetree-film.wixsite.com/bluetree-film/home
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