原題 | A Dog‘s Purpose |
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制作年・国 | 2017年 アメリカ |
上映時間 | 1時間40分 |
原作 | W・ブルース・キャメロン(「野良犬トビーの愛すべき転生」(新潮文庫)) |
監督 | ラッセ・ハルストレム(『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』『ギルバート・グレイブ』『HACHI 約束の犬』『砂漠でサーモン・フィッシング』) |
出演 | ジョシュ・ギャッド(声)、ブリット・ロバートソン、K.J.アパ、ジョン・オーティス、デニス・クエイド |
公開日、上映劇場 | 2017年9月29日(金)~全国東宝系にてロードショー |
君に出会えて良かった!
そうワンコに思ってもらえる飼い主になりたい。
「何回生まれ変わっても、きっと君のもとに戻ってくるよ!」とワンコが言うんです、心の中で。フランケン・ウィニーみたいに生き返る訳ではありません。人間より寿命が短い犬が3度も違う犬種に生まれ変わってご主人様会いたさに大冒険をするのです。そんな健気なワンコに心が溶けそうなくらいメロメロになってしまいます。犬を飼ったことがある人なら尚更のこと、別に犬派でなくても、涙腺決壊必至のうるうる映画なんです。
ゴールデン・レトリバーのベイリーは、死にかけていたところを救ってくれた少年イーサンのことが大好き。イーサンが成長してからもいつも笑顔でいられるよう一所懸命に尽くします。お父さんが家を出て行った時にイーサンを慰めたのも、イーサンの初恋を実らせるのもベイリーの役目です。幸せ絶頂だったイーサンが大怪我をして夢を諦めなければならなくなりました。恋人とも泣く泣く別れてしまったイーサンは、遠くの学校へ旅立ってしまいます。ベイリーは麦畑の中を必死で追い駆けましたが、イーサンに追い返されてしまいました。「もう、ボクなんかいらないのかな~」。でも、ベイリーが最期を迎える時には帰ってきてくれました。「やっぱり、ボクの大好きなイーサン……」。
イーサンを幸せにできなかった心残りが神様に通じたのか、今度はシェパードのエリーに生まれ変わることができました、メスだけど。警察犬として訓練されたエリーは、カルロスという警官とコンビを組んで沢山の犯罪を解決していきます。でも、いくらエリーが頑張っても孤独なカルロスの心の隙間を埋めることはできません。そんなある日、凶悪な誘拐犯を追い詰めたところ、悲しい事件が起きてしまいます。
次に生まれ変わったのはコーギーのティノ。人付き合いが苦手なマヤという女子大生といつも一緒です。そんな彼女の恋の橋渡しをし、結婚して家族を持つまでを優しく見守ります。幸せな一生を送った次に生まれ変わったのは、セント・バーナードとシェパードのミックスのボルト。ところが、無責任な飼い主に放置された上に捨てられてしまいました。街を彷徨っていたら懐かしい匂いがします。「あれ?嗅ぎ憶えがあるぞ!」その匂いを辿っていくボルト。街を出て、懐かしい麦畑に出ます。「イーサンの農場だ!」 でも、イーサンは気付いてくれません。何だか幸せそうでもありません。
母親や愛犬とも離ればなれになって辛くて寂しい現状を、「ソ連の人工衛星スプートニクに乗せられたライカ犬に比べればまだ幸せだ」と自分に言い聞かせる健気な少年の成長を描いた『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』(1985年)、日本の『ハチ公物語』をリチャード・ギア主演でリメイクした『HACHI 約束の犬』(2008年)と、犬と人間の強い絆を描いてきたラッセ・ハルストレム監督。犬シリーズ最新作とあって、これは観ない手はない。
亡き犬がベイリーのように生まれ変わって戻ってきてくれたなら…そう思うだけで胸が締め付けられる。動物は口がきけないだけに、つぶらな瞳で人間を見つめては語りかけてくる。もっと人間の方から動物の感情に寄り添い触れ合うことで、お互いが救われることにもなるだろう。どうしても人間より寿命の短い動物を見送ることは避けられないこと。動物にとって、その飼い主に出会えて本当に幸せだったと言えるような関係性を築きたいものだ。この映画を観てつくづくそう思った。
(河田 真喜子)
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