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『パーフェクト・レボリューション』

 
       

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作品データ
制作年・国 2017年 日本
上映時間 1時間57分
監督 監督・脚本:松本准平  企画・原案:熊篠慶彦
出演 リリー・フランキー、清野菜名、小池栄子、岡山天音、余 貴美子
公開日、上映劇場 2017年9 月29 日(金)~大阪ステーションシティシネマ、109シネマズHAT神戸、TOHOシネマズ二条ほか全国公開

 

車椅子で自由を手にし、希望に向かって歩み出す二人の道のり

 

「障害は私たちのためにあるんだよ。私たちが愛し合うために。そして、私たちが不可能を可能にするために…」


こんなセリフが、リアルに、心に直球で飛び込んでくるのも、ミツの破天荒でパワフルで、わが道を行く強烈なキャラクターの魅力ゆえだろう。ピンクに染めた髪、ショッキングピンクのタイツ、原色使いの派手な服装で、「クマピーのことが好き!」と面と向かって言うミツのキャラクターは、はじめはとっぴすぎて、リアルに見えなかったが、いつしか見入ってしまい、最後は、二人のゆく道を熱く応援していた…。


PerfectR-500-1.jpgクマは、脳性まひで手足を思うように動かせず、介助が必要な重度障害者。障害者のセクシュアリティについて誤解を解くため、講演や著作の活動をしていた。風俗嬢として働く少女ミツは、クマの講演に勇気づけられ、一目惚れ。20歳という年齢差をものともせず、「あなたと私みたいな不完全なもの同士が幸せになれたら、それってすごいことだと思わない?」と猛烈にクマにアタックする。突然現れた美少女ミツにクマは戸惑いながらも、新しい一歩を踏み出す。しかし、純粋でまっすぐなミツも人格障害を抱えていることがわかってくる…。


PerfectR-500-5.jpg障害者の映画をつくりたいと、自らの実話を基に本作を企画・立案したのは、熊篠慶彦さん。自身も脳性麻痺を抱え、障害者の性について、著作やイベントを通じて啓発活動中。クマを演じるリリー・フランキーは、熊篠さんと長年の友人同士。どうしてこんな身体で生まれたのだろうと悩みを口にするクマを自然体で演じ、観客はクマの思いにそっと心を寄せたくなる。ミツを演じる清野菜名は、自分の感情に素直で、こうと決めたら一直線、まわりを介しないミツになりきっていて、ミツの喜びも悲しみも不安もむきだしの感情がスクリーンからあふれだす。


PerfectR-500-3.jpgクマを長年介助してきた恵理を小池栄子が、ミツを親代わりに世話してきた晶子を余貴美子が演じ、二人の恋路を精一杯応援したいけれど、暴走しそうなミツに心配や不安を隠せず、じっと見守り続ける複雑な心境を秀演。恵理がミツと取っ組み合いの喧嘩をするシーンからは、恵理のやるせない思いが爆発する。


PerfectR-500-4.jpg人間にとって、性はごく自然なものだが、映画で正面から扱うにはなかなか厄介。「生まれも性別も、職業も能力も、お金も年齢も、幸せには関係ない。世界に証明するの。本当の幸せ!」と、二人で愛の“革命”を起こそうとする波乱に満ちたドラマを、ポップなストーリーテリングで描き、重いテーマながらも、爽快に乗り越えていけそうな、希望に満ちた快作。


(伊藤 久美子)

公式サイト⇒ http://perfect-revolution.jp/

©2017「パーフェクト・レボリューション」製作委員会

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