原題 | Skiptrace |
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制作年・国 | 2016年 アメリカ・中国・香港合作 |
上映時間 | 1時間47分 |
監督 | レニー・ハーリン |
出演 | ジャッキー・チェン、ジョニー・ノックスヴィル、ファン・ビンビン、エリック・ツァン、シー・シー、ウィンストン・チャオ、ヨン・ジョンフン、イヴ・トーレス他 |
公開日、上映劇場 | 2017年9月1日(金)~TOHOシネマズスカラ座・みゆき座、TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ新橋、池袋シネマ・ロサ、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば本館・別館、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、TOHOシネマズ二条、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー |
年齢がどうのこうのという雑音を忘れさせる、
娯楽アクション映画にかけるこの情熱!
「ああ、やっぱりジャッキーの映画は面白いなあ!」と心底思う。批評だとか理屈だとか、そんなものぶっ飛ばしてしまうほどの吸引力とパワーに、今回も振り回されて、それが快感なのである。今回の監督はレニー・ハーリンだと知って、今までのジャッキーの映画とはかなり違うのではないかなと予想したが、それはもののみごとにはずれた。ジャッキー・チェンという映画人へのリスペクトだろうか、彼の従来のスタイルをきちんと踏襲し、なんとエンドクレジットではおなじみのNG集まで付いているではないか!
香港警察の刑事ベニー(ジャッキー・チェン)は、思いもかけない悲劇と出会う。裏社会を牛耳っているだろうとされるヴィクター(ウィンストン・チャオ)を捜査している時、同僚ヤン(エリック・ツァン)の死を目の当たりにするのだ。それから9年の時が流れ、亡きヤンの娘サマンサ(ファン・ビンビン)はベニーに助けを求める。彼女が働くカジノで、アメリカ人の詐欺師コナー(ジョニー・ノックスヴィル)がイカサマをやって逃亡したというのだ。コナーを追ってロシアまで飛んだベニーだったが、とんでもなく危険な旅が彼を待ちかまえていた…。
気の合う仲良し二人組のロードムービーより、全く気の合わない二人組のロードムービーのほうが、観ていて断然面白いと感じるのは、人生が幸せ一色よりも、山あり谷ありのほうが断然奥深いというのと同じなのかもしれない。とにかく、ベニーとコナーの相性は絶望的にひどいのだが、二人して悪の集団に追いかけられる羽目になり、窮地から脱出するために力を合わせなければならず、そのやりとりが絶妙!いかだでの急流滑りや、高所に張られたワイヤーを滑車で渡っていくジップラインのシーンはスリルたっぷりで、ロシアの民芸品として有名なマトリョーシカを使った格闘シーンは、ジャッキー的ユーモア色が濃くって、実におかしい。
クライマックスで意外な黒幕が登場。その対極にあるのが、ジャッキーがこれまでずっと演じてきた“人の好い熱血漢”であるヒーロー像だなと改めて思う。もちろん年齢を重ねた分、アクションの切れは鈍くなっているだろうが、彼は綿密な工夫をして、そこに不変の熱っぽさを入れ込んでいる。それが、感動の源なのだ。ロシアからモンゴル、中国を縦断してマカオまで、さまざまな場所のご当地らしさも取り入れ、テンポの良い展開で、最後まで飽きさせない。
(宮田 彩未)