踊らずにいられない！生きている喜びを全身で表現♪
夢のバレリーナを目指す少女の超ポジティブ・ストーリー

元気で明るく美しい感動アニメがフランスからやってきた。舞台は、産業革命目覚ましい近代都市改造で沸き立つ19世紀末のパリ。そう、私たちが“花の都”と称える世界一の観光都市パリはこの時代に造られたのだ。凱旋門を中心に放射状に延びる美しい街並みや、当時の最新技術を駆使した建設中のエッフェル塔に、完成間もない燦然と光り輝くパリ・オペラ座（ガルニエ宮）などが登場する。バレリーナを目指す少女・フェリシーの夢の飛躍と共に、活気あふれるベル・エポック時代のパリを体感するような躍動感と興奮に満ちた映画だ。きっと大人も子供も胸を熱くするに違いない。

近年のフランス映画の中でも大ヒットを飛ばした『最強のふたり』のプロデューサーに、アメリカの『マダガスカル』や『カンフー・パンダ』等を手掛けたアニメーション・ディレクターがタッグを組み、さらに、現パリ・オペラ座の芸術監督を務めるオレリー・デュポンとエトワールのジェレミー・ベランガールが振付を担当している。なんて豪華で贅沢な映画なんでしょう！身寄りのない少女がバレリーナになる夢を実現しようと諦めずに突き進むというシンプルな物語を、実際のバレエの動きを基調にしたバレエシーンや台所で皿を使って踊るシーンに、居酒屋でブルターニュの民謡に乗って踊るシーンなど、映画ならではのスケールとスピード感で魅了する。

フランス西部のブルターニュ地方にある養護施設で育ったフェリシーは、屋根の上でも台所でもいつでもどこでも心の赴くままに踊っていた。踊らずにいられないフェリシーのことが大好きなヴィクターは、バレリーナになりたいという彼女の夢を叶えてあげようと度々施設からの脱走を謀っていた。だが、恐い寮長さんに見つかっては失敗。ところが、発明家を目指すヴィクターの悪戦苦闘の末、とうとう脱走に成功する日がやってくる。

ようやくパリにたどり着いた二人だったが離れ離れになってしまう。フェリシーはひとり夜の街をさまよい、暗い路地裏を抜けて、急に目の前に光り輝く宮殿が現れる。夢にまで見たパリ・オペラ座だ！豪華絢爛な建物に圧倒されながら、エトワールが踊る本物のバレエを初めて見てしまったフェリシー。その優美さに完全にノックアウト！ そして、何が何でもバレリーナになろうと固く決意する。だが、身寄りもなく田舎から出てきたばかりの少女がそう簡単に進める道ではなかった。

オペラ座やル・オール夫人の家で掃除婦として働くオデットの支援や、バレエ界のカリスマ指導者メラントゥ先生の厳しい指導を受けながら、冷淡で意地悪なル・オー夫人やその娘のカミールの悪意ある仕打ちに耐え抜いていく。限界に挑戦する勇気、挫折しても諦めない粘り強さ、いつかはオペラ座の舞台に立ちたい！そう願う純粋な気持ち。フェリシーの生きる喜びあふれる踊りは、周囲に感動を与え、奇跡を生む……。

自由に踊っていたフェリシーがバレエの基礎・ファーストポジションから練習していく様子が実にリアル。さすがオペラ座・現役ダンサーの振付が効いている。アニメだからといって動物が急に喋り出すようなことはない。ファンタジー色を控えてはいるが、どんなファンタジー映画よりも夢と希望あふれる力強さがある。フェリシーの声を字幕版ではエル・ファニングが、日本語吹替え版では土屋太鳳が務めている。両方観てみたいと思える映画だ。

（河田 真喜子）

公式サイト⇒　http://www.ballerina-movie.jp

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