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『メアリーと魔女の花』

 
       

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作品データ
制作年・国 2017年 日本
上映時間 1時間42分
原作 メアリー・スチュアート「The Little Broomstick」
監督 監督:米林宏昌  脚本:米林宏昌、坂口理子
出演 声の出演:杉咲花、神木隆之介、天海祐希、小日向文世、満島ひかり、佐藤二朗、遠藤憲一、渡辺えり、大竹しのぶ
公開日、上映劇場 2017年7月8日(土)~全国東宝系にてロードショー

 

~今、少女の真の力が試される…~

 

どんな恐怖にもひるまず、立ち向かっていく勇気と決意にあふれた少女の瞳…それは、スタジオジブリのアニメで出会ったラナ(『未来少年コナン』)やシータ(『天空の城ラピュタ』)の眼だ。少年の助けを待つことなく、自ら、細い手足と華奢な身体で、諦めずにくらいついていく姿はどんなに私たちの心を熱くし、元気づけてくれたことか。


maryflower-500-1.jpg本作は、『借りぐらしのアリエッティ』、『思い出のマーニー』の米林宏昌監督が、スタジオジブリの制作部門解散後、ジブリの卒業生たちとともに挑んだ、スタジオポノックの最初の作品。私たちを釘付けにした、あの力強い瞳を見つけ、一気に引き込まれた。炎に包まれた館から飛び出し、全速力で追手から逃れようとする、謎の赤毛の魔女のファーストシーン。一体何が起きたのだろうという不思議な思いを残して、映画は、赤い館村に引っ越してきたばかりの、赤毛でコンプレックスだらけの、ドジで泣き虫の少女メアリーの平穏な日常から始まる…。見事な導入だ。


メアリーは、7年に一度しか咲かない“夜間飛行”という不思議な花を森で見つけたことから、偶然、魔法の力を手に入れ、雲海の遥か向こうにそびえる、優秀な魔法使いたちが学ぶエンドア大学に足を踏み入れ、入学が許可される…。


maryflower-500-3.jpgメアリーが仲良くなる黒猫のティブ、魔法のほうき、ネズミのような番人、ずんぐりむっくりとした女校長、偏屈な科学者と、ユニークなキャラが集合。魔女の花の秘密が明らかになり、メアリーが人間の世界と魔法の世界を行ったりきたりしながら、繰り広げる冒険譚にわくわくする。風にそよぐ緑の草原、青く澄み渡った空、木々の深みなどの丁寧な風景描写や、色とりどりで美しい魔法世界に心奪われる。


『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の福士亨が本作でも撮影監督を務め、スリリングで、スピード感あふれる映像が展開。逃走と追跡、爆発、落下の怖さと、躍動感に富んだ動きで、ファンタジーのおもしろさが全開。最初から最後まで目が離せない。


maryflower-500-2.jpg女校長から魔法の力を称賛され、有頂天になるメアリー。でも、魔法は魔法にすぎず、仮の力でしかない。メアリーの真の力…友達を思う心、土壇場でもくじけない勇気が試される時、メアリーは本当の意味で、輝くことができるのか…。少女の成長を描いてきたジブリアニメの真髄を受け継いだ傑作アニメの誕生を喜びたい。  


(伊藤 久美子)

公式サイト⇒ http://www.maryflower.jp/

(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会