原題 | LIVE BY NIGHT |
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制作年・国 | 2016年 アメリカ |
上映時間 | 2時間9分 PG-12 |
原作 | デニス・ルヘイン(『夜に生きる』)…「ミスティック・リバー」 |
監督 | 監督・脚本: (『アルゴ』『ザ・タウン』) 製作:レオナルド・ディカプリオ |
出演 | ベン・アフレック、エル・ファニング(『マレフィセント』)、フレンダン・グリーソン(『ハリー・ポッター』シリーズ)、クリス・メッシーナ(『アルゴ』)、シエナ・ミラー(『アメリカン・スナイパー』)、ゾーイ・サルダナ(『アバター』)、クリス・クーパー(『ザ・タウン』) |
公開日、上映劇場 | 2017年5月20日(土)~丸の内ピカデリー 新宿ピカデリー大阪ステーションシティシネマほか、全国ロードショー |
夜にしか生きられない男たちの愛と裏切り、
哀しくも熾烈な戦いのドラマ。
アカデミー賞®受賞作『アルゴ』で、監督としての腕前を見せつけたベン・アフレック。最新監督作「夜に生きる」の原作は、クリント・イーストウッド、マーティン・スコセッシら大物監督が競って映画化した人気作家デニス・ルヘインの傑作小説。ベン・アフレックにとっては、初監督作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』(主演は先頃、アカデミー賞®主演男優賞を受賞した実弟ケイシー・アフレック)に続くルヘインものであり、初めて単独による脚本を手掛け、主演も果たした。
後に、犯罪を誘発した悪法として歴史に汚点をつけた禁酒法時代末期のアメリカ。獅子奮迅の働きをして、ボストン市警の警視正にのぼりつめたアイルランド移民一世の父トーマス(ブレンダン・グリーソン)。彼が守ろうとした家族の幸福な暮らしは、皮肉にもその内側から亀裂を生じさせていた。父の厳格さ、あるいは権力を持つ者こそが正義という世の不条理に抗い、無法者となる息子ジョー(ベン・アフレック)。犯罪のスリルに魅了される子どもでしかなかったジョーは、やがてアメリカン・ドリームの闇に飲み込まれていく。
幼なじみのディオン兄弟と組み、アイルランド系ギャングのホワイト(ロバート・グレニスター)の賭博場を襲撃したジョーは、金ばかりかホワイトの愛人・タフなアイルランド美女エマ(シエナ・ミラー)まで奪ってしまう。誰のルールにも縛られず、自分の流儀で欲しいものを手に入れようとするジョーにとって、エマは理想の自分を映した鏡なのだった。だが、彼女との逃避行のために銀行を襲撃し、激しい銃撃戦を繰り広げた彼らは、警官殺しの犯罪者となった。庇い立てできない重罪を犯した息子を救うため、検事の弱みを握り刑期を短くするという裏取引に応じさせたトーマスは、新天地アメリカで掴んだ成功のすべてを失った…。
3年の刑期を終えたジョーは、愛するエマを死なせたホワイトへの復讐心から、敵対するイタリア系ギャングのペスカトーレ(レモ・ジローネ)の傘下に入り、ホワイトが牛耳るフロリダ州タンパで密造酒ビジネスに着手。地元警察の本部長フィギス(クリス・クーパー)と盟約を結び、瞬くうちに巨額の収益を叩きだしてホワイトに大打撃を与える。だが、聡明なキューバ美女グラシエラ(ゾーイ・サルダナ)との確かな愛こそが、かけがえのないものだと気づいた矢先、時代は逆巻くうねりを見せ始める。
『華麗なるギャッビー』の1920年代から30年代を緻密に再現した犯罪ドラマにして、一人の青年の成長を描いた本作は、激動のアメリカ暗黒史としての側面を持つ。父と子の確執、人種差別などをモチーフに、ギャングものには欠かせない美しい女たち(なかでもフィギスの娘役エル・ファニングが素晴らしい)や、カーチェイスに銃撃戦(とりわけクライマックスの舞台ホテルでの銃撃戦は見ものだ)と見せ場がたっぷり。撮影には、センセーショナルな注目を浴びて大ヒットしたケビン・コスナー主演『JFK』で、アカデミー賞®を受賞したロバート・リチャードソンを迎えるなど、ベン・アフレック監督も自身の流儀を貫いたエンターテイメントなのだ。
柳 博子(映画ライター)
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