映画レビュー最新注目映画レビューを、いち早くお届けします。

『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』

 
       

monroi-550-1.jpg

       
作品データ
原題 MON ROI
制作年・国 2015年 フランス 
上映時間 2時間6分 R15+
監督 監督・脚本:マイウェン(「パリ警視庁:未成年保護部隊」)
出演 エマニュエル・ベルコ(『太陽のめざめ』監督)、ヴァンサン・カッセル(『美女と野獣』)、ルイ・ガレル(『ドリーマーズ』)、イジルド・ル・ベスコ(『ふたりのヌーヴェルヴァーグ』)
公開日、上映劇場 2017年3月25日(土)~YEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、4/15(土)~シネ・リーブル神戸、4/29(土)~京都シネマ、ほか全国順次公開
受賞歴 第68回カンヌ国際映画祭女優賞受賞(エマニュエル・ベルコ)

 

好きではないが、愛している。
愛し過ぎた女の激情の果て、静かに過去を振り返る日々。

 

さすがフランス映画!雨後のタケノコのようにコミックベースの恋愛映画が氾濫する日本にいると、“男と女の愛の格闘技”のような映画に目が覚めるようだ。何度裏切られても傷付けられても離れられない女。憎んでも突き放しても心を捉えて放さない男。愛し過ぎた女の激情の果て、静かに過去を振り返る日々。昨年夏公開されたカトリーヌ・ドヌーヴ主演の『太陽のめざめ』では監督を務め、2015年カンヌ国際映画祭で『キャロル』のルーニー・マーラーと共に女優賞を受賞したエマニュエル・ベルコが、ヴァンサン・カッセル相手に体当たりの演技で魅了する。


monroi-550.jpg監督のマイウェンは子役の頃から活躍してきた女優だが、20年前のリュック・ベッソン監督(『レオン』『ニキータ』『フィフス・エレメント』)との離婚で精神的にかなりのダメージを受けたらしい。そんな経験を基に、愛する喜びや愛情に頼りすぎた女の苦悩を瑞々しい映像で綴った、予想を超えるインパクトで心に沁みるオトナのためのラブストーリーである。


monroi-500-4.jpgスキー滑降中、飛ばし過ぎて膝に大怪我をした弁護士のトニー(エマニュエル・ベルコ)は、リハビリセンターで怪我の原因について「自分を見失ったのでは?」と心理カウンセラーに言われハッとする。すべては、別れたジョルジオ(ヴァンサン・カッセル)との苦悩の日々に起因していたのだ。

かつて憧れていたジョルジオをクラブで見掛け、すぐさま自分の方から近付く。いつも美しいモデルタイプの女性に囲まれていたジョルジオは、とびきり美人ではないが、他の女性にはないトニーの知的な魅力に惹かれ、二人は結婚する。だが、ジョルジオの女性関係や経済的トラブルは子供が生まれてからも続き、トニーを悩ませる。


monroi-500-2.jpg何度浮気されても、暴言を吐かれても、離婚を決意しても、ジョルジオへの愛を完全に断ち切れないトニー。「裏切ったり、愛を誓ったり、その繰り返し。私は平らがいい。」とトニーが言うと、「心電図では“平ら”は死んでいる状態だ。」と切り返してくるジョルジオ。妻と愛息子との家族の絆は繋ぎ止めたいが、縛り付けられるのはイヤ。そんな勝手な男に、なぜか知的な女性ほど執着するとは……。大怪我をした膝の治療と共に、冷静な状況でジョルジオとの生活を振り返り、傷付いた心も癒していく。ジョルジオを一歩引いた目で見られるようになった時にこそ、トニーにとっての本当の意味での完治となる。


(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://www.cetera.co.jp/monroi/

© 2015 / LES PRODUCTIONS DU TRESOR – STUDIOCANAL