原題 | SING |
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制作年・国 | 2016年 アメリカ |
上映時間 | 1時間48分 |
監督 | ガース・ジェニングス |
出演 | マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、セス・マクファーレン、スカーレット・ヨハンソン、ジョン・C・ライリー、タロン・エガートン、トリー・ケリー、ジェニファー・ソーンダース、ジェニファー・ハドソン、ガース・ジェニングス、ピーター・セラフィノウィッツ、ニック・クロール、ベック・ベネット |
公開日、上映劇場 | 2017年3月17日(金)~全国ロードショー |
人間くさい動物キャラとポジティブなメッセージに、
数々の名曲を重ねて
最近、アニメーションの質の高さにはホンマに驚かされる。もちろん、テクノロジーの進化はめざましいけれど、それ以上に、きっちりとした方向性を持った上での深い描写力と、「そこまでやるの~!?」と歓声を上げたくなるような遊び心。「どうせアニメでしょ」なんて思ってるそこのあなた!実写映画とアニメーション映画、それぞれ手法は違うけれど、ええもんはええ、あかんもんはあかん…それはどんなジャンルでも同じこと。で、この映画はどうかといえば、むろん前者。ええ年したおとなも懐かしい音楽にノリノリになりつつ、生きること、夢見ること、仲間を得て挫折から立ち上がることなど、人生のエスプリを登場人物といっていい登場動物たちと十二分に味わって、最後はホホホとええ気分になれる、そんなふうな、一つの旅にも似た作品だ。
映画の舞台は、さまざまな動物だけが住む世界。コアラのバスター・ムーン(マシュー・マコノヒー)は、以前は流行っていたのに今はすっかりお客さんが来なくなった劇場の支配人だ。昔の栄光を取り戻すため、彼が思いついたのは、歌唱コンテスト。宣伝のため、多くのチラシを作り、応募者が列を作るほど集まるのだが、バスターの下で働くうっかり屋のトカゲのミス・クローリー(ガース・ジェニングス)が、とんでもないミスを犯したことをバスターは知らなかった…。
能天気だけど劇場経営に対して熱い気持ちを持っているバスターをはじめ、歌の練習とヤバい家業の間で人知れず悩むゴリラのジョニー(タロン・エガートン)、恋人に裏切られた悲しみを歌にぶつけるヤマアラシのアッシュ(スカーレット・ヨハンソン)、抜群の歌唱力を持っているのにあがり症で実力を出せないゾウのミーナ(トリー・ケリー)など、人間くさ~い動物たちのキャラクター表現が巧く、つい感情移入してしまう。これは、動物の形を借りた“ドリームス・カム・トゥルー”(夢は実現する)のお話。「どん底まで落ちたらどうする?上がるしかない!」という言葉が印象的だ。
しかしまあ、皆さん、歌が巧すぎる!もともと歌手のトリー・ケリーなどは当然だが、母親ブタを演じたリース・ウィザースプーンやタロン・エガートン、スカーレット・ヨハンソンには驚いた。「天は二物を与えず」とは嘘である。映画を盛り上げる名曲は、ビートルズ、スティーヴィー・ワンダー、ヴァン・ヘイレン、ワム!、ジプシー・キングス、ビヨンセ、レディー・ガガほか、ジャズ、クラシックも含む60曲以上。その中に、きゃりーぱみゅぱみゅの曲もあり、そのシーンではつい笑いを誘われる演出になっている。吹き替え版では、バスター役の内村光良をはじめ、長澤まさみ、スキマスイッチの大橋卓弥、斎藤司、大地真央などが声を聞かせてくれるというので、こちらも期待してほしい。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://sing-movie.jp/
(C)Universal Studios.