原題 | MAGGIE’S PLAN |
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制作年・国 | 2015年 アメリカ |
上映時間 | 1時間39分 |
監督 | レベッカ・ミラー |
出演 | グレタ・ガーヴィグ、イーサン・ホーク、ジュリアン・ムーア他 |
公開日、上映劇場 | 2017年1月21日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都他全国ロードショー |
~奪った夫を前妻に返す作戦の行く末は?~
不倫の末の略奪愛、結局男は若い女に走るとなると、どこにでもよくある話すぎて、もう観たくもないと思うのだが、むむむ、なんですって!?やっぱり合わないからお返ししますなんて、ありですか?でも、面白いじゃないか。ドロドロの三角関係ではなく、一風変わった、でもちょっと理想的に見える三角関係は、女性はいいかもしれないが、男性にはかなりキツそうだぞ。
そんなキツい目に遭うモテ中年ジョンを演じるのは、ビフォア三部作をはじめ、近年は『ブルーに生まれついて』でチャット・ベイカー役を熱演したことも記憶に新しいイーサン・ホーク。優秀すぎて家庭を顧みず働いてしまう前妻ジョーゼットを演じるのは、『アリスのままで』『ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの勇気』と、ここのところシリアスな役が続いたジュリアン・ムーア。そして、関係悪化の中年夫婦を破局に追いやった後妻マギーを演じるのは、『フランシス・ン』のごじらせ女子ぶりが人気を呼んだグレタ・ガーヴィグと最強の大人ラブコメができる布陣なのだ。
結果的に後妻になったマギーだが、愛に溺れる派とは真反対の理性派。30代で結婚のあてがなくても優秀な子どもが欲しいと、体外受精の準備を着々と進め、自分の考えを明確に持って、ブレることなく行動している。そこに現れたのが妻に抑えられ、家事負担が大きいあまりに自分のやりたいことができず、欝々としている文化人類学者のジョンだった。出会いはともあれ、夢描いていた結婚生活がいざ体験すると、いかにあっという間に終わり、目の前の現実を直視せざるをえないか、そのリアルが足音を立てて迫ってくる。
後妻になったばかりに、前妻の子どもたちの学校への送迎、子育てが覆いかぶさり、やりたかった小説執筆で手伝いをしなくなったジョンへの不満も溜まる一方。おまけに、前妻からの電話を受けては、電話の向こうで泣いている前妻を慰めるジョンの姿に絆の深さを見せつけられる。だが、そこでジョンを束縛するのではなく、客観的にジョンと一緒にいるのはどちらの方がいいのか見極められるマギーは、筋金入りの理性の持ち主。前妻ジョーゼットも略奪された側なのに、とんでもない提案をするマギーに戸惑いながらも、結局は意気投合。知らぬはジョンばかりという、共闘状態ができあがるのは見ていて爽快だ。
ニューヨークオシャレライフも子どもがいるだけでドタバタコメディーのような毎日だし、三人の関係そのものがなんともコミカルな大人の恋愛コメディー。幾つになっても厄介な大人たちが愛を求めて交差する様子を軽やかに描いている。ベテラン俳優たちを相手に見事な巻き込み系コメディエンヌぶりを発揮するグレタ・ガーヴィグ。ますます等身大ラブコメに欠かせない存在となった。
(江口由美)
公式サイト⇒:http://maggiesplan.jp/
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