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『ガール・オン・ザ・トレイン』

 
       

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作品データ
原題 THE GIRL ON THE TRAIN  
制作年・国 2016年 アメリカ 
上映時間  1時間53分
原作 ポーラ・ホーキンス(「ガール・オン・ザ・トレイン」講談社文庫刊)
監督 テイト・テイラー(『ヘルプ 心がつなぐストーリー』)
出演 エミリー・ブラント、ヘイリー・ベネット、レベッカ・ファーガソン、ジャスティン・セロー、ルーク・エヴァンス、エドガー・ラミレス他
公開日、上映劇場 2016年11月18日(金)~TOHOシネマズスカラ座/みゆき座、池袋HUMAXシネマズ、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば本館・別館、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸ほか全国ロードショー

 

3人の女と3人の男の愛憎相関図から、真犯人を読み取れるか?

 

原作は新人作家ポーラ・ホーキンズの小説なのだが、ニューヨーク・タイムズで取り上げられたのをきっかけに、あれよあれよという間に45か国で出版されて世界的なベストセラーになってるらしい。そっちを読んでないのだが、映画のほうは非常によくできていて、本のページをめくる快感に似たタッチを味わうことができる。深まりゆく秋にぴたっとくるようなミステリー映画だ。


gott-500-2.jpgヒロインのレイチェル(エミリー・ブラント)は夫のトム(ジャスティン・セロー)と離婚し、友達の家に居候させてもらっている。そのトムは、レイチェルと結婚している時から愛人関係を結んでいたアナ(レベッカ・ファーガソン)と家庭を持ち、幼い子どももいる。いまだトムに未練を抱いているかのようなレイチェルは、通勤電車の線路沿いの一軒家に住む幸せそうな夫婦の姿を、車窓から眺めるのをひとときの慰めにしていた。ところがある日、その若妻メガン(ヘイリー・ベネット)が自宅のベランダで別の男と抱擁しているのを目撃し、裏切りに接したような憤りを感じる。そしてメガンが失踪し、遺体で発見されるに至り、レイチェルの怪しい言動が疑惑の対象になるのだが…。


gott-500-4.jpg心に癒されぬ傷を持ち、アルコール依存症になっているレイチェルには、思い出せない空白の時間があり、それが謎を深め、彼女を窮地に追いやっていく。「私自身が怖い」とつぶやく場面では、人の記憶とは本当にいい加減なものではないかという疑惑を投げかけてくる。そして、トムやメガンの夫であるスコット(ルーク・エヴァンス)、精神科医のカマル(エドガー・ラミレス)など、女たち周辺の3人の男たちもどことなく胡散臭く見えてきて、さあ真犯人を当ててみよう的スリル感はどんどん高まる。それぞれに隠された動機があるといえば、そう思えるのだが、観ているものを焦らすように物語は進んでいく。


gott-500-1.jpgミステリー好きにはワクワクさせられる展開の果てに、「なるほどね!」という結末が待っていて、登場人物のなかの3名が、ある意味で心を通わせ結ばれていくようなエンディングは、重苦しい雲の間からのぞいた温かい陽ざしのようでもある。アルコールを手に憔悴した表情で人生のどん底をうろついているようなレイチェルを、エミリー・ブラントが熱演。マンハッタンの私が大好きな美しいグランドセントラル駅へと走る通勤電車が、物語を面白くする大道具として使われているのも気に入った。


(宮田 彩未)

 公式サイト⇒ http://girl-train-movie.jp/

 (C)Universal Pictures