映画レビュー最新注目映画レビューを、いち早くお届けします。

『真田十勇士』

 
       

sanadajuyushi-550.jpg

       
作品データ
制作年・国 2016年 日本 
上映時間 2時間15分
監督 監督:堤 幸彦  脚本:マキノノゾミ、鈴木哲也
出演 中村勘九郎、松坂桃李、大島優子、永山絢人、加藤雅也、大竹しのぶ、松平 健
公開日、上映劇場 2016年9月22日(木・祝)~全国ロードショー

 

舞台でもスクリーンでも丁々発止の勘九郎、
底抜けに明るい“滅びの美学”で見事に咲かせた花をご覧あれ!

 

戦国時代、智将で名高い真田幸村の生涯を、個性的な登場人物を新たな解釈で描いて人気を博しているNHK大河ドラマ『真田丸』。戦国武将や家族や家臣・領民に至るまで、いかに巧みな処世術で生き残りを賭けた戦いをしたか――今年は“真田イヤー”と言われる中、歌舞伎界のプリンス・中村勘九郎主演の舞台『真田十勇士』の公演と、映画『真田十勇士』が同時期に公開される。マキノノゾミ脚本、堤幸彦演出による舞台版は2年前に初演。意外すぎる真田幸村像や猿飛佐助や霧隠才蔵などの十勇士による、九度山の団結から大坂夏の陣に至るまでの疾風怒濤の戦いを画期的な演出で魅了する。


sanadajuyushi-500-1.jpgキャストを少し変えた映画版は、主役の佐助を演じた中村勘九郎や真田幸村役の加藤雅也はそのままで、松坂桃李や大島優子、大竹しのぶ、永山絢人などの新メンバーを加え、さらにリアルな戦闘シーンやダイナミックな映像で圧倒する。「智将で名高い美男子の真田幸村は、実は腑抜けだった!?」という発想から生まれたフィクション「真田十勇士」は、幸村の偉業を支えた抜け忍びの猿飛佐助や霧隠才蔵などによる奇想天外な活躍を物語った痛快時代劇である。映画を観てから舞台を観るか、舞台を観てから映画を観るか、真田幸村ファンは勿論、時代劇ファンも大満足の贅沢なプレゼンツに興奮を抑えられない!


sanadajuyushi-500-3.jpg一世風靡を狙って忍びの郷から逃げ出した猿飛佐助(中村勘九郎)は、ひょんなことから真田幸村(加藤雅也)と出会う。勇猛果敢な武将として名高い幸村は、とんとやる気のない腑抜けで、世間の過大評価にうんざりしていた。そこで、佐助は知恵を巡らせて、「嘘もつき通せば本物になる!」と、幸村を評判通りの名称に創り上げようと、同じ抜け忍びの剣客・霧隠才蔵(松坂桃李)と共に8人の剣豪を集め「十勇士」を形成する。その中に、豊臣秀頼そっくりの根津甚八(永山絢人)がいるが、これがまた最後の最後でびっくり仰天させるどんでん返しが待ち受けているので、要注意!


sanadajuyushi-500-2.jpg一方、佐助と才蔵の幼なじみの「くノ一」の火垂(大島優子)が、才蔵への恋心を抱きつつも才蔵の命をつけ狙ってくが、それを佐助が口八丁手八丁で撃退する辺りは勘九郎の見せ場でもある。秀頼を守るためなら多大な犠牲もいとわない母親のエゴを見せる淀(大竹しのぶ)にも注目。昨今世間を騒がしている母子に通じるものがある。


sanadajuyushi-500-4.jpg戦国の世に生まれ身寄りのない十勇士にとって、真田幸村は父親のような存在であり、またお互いは兄弟のような絆で結ばれていた。だが、時代は豊臣から徳川へと大きく変わり、いよいよ徳川家康(松平健)による大阪城攻めが始まる。大阪冬の陣では出城の「真田丸」の活躍もあり和議に持ち込まれたが、翌年の夏の陣では、外堀を埋め立てられ無防備な上に、兵の数では圧倒的不利な状況となっていた。そこで、真田幸村と大輔(望月歩)親子を家康の本陣へ向かわせ、直接家康を討たそうと、大軍を前に前代未聞の突撃作戦が開始される…。


sanadajuyushi-500-5.jpg7月末に行われた勘九郎の会見では、撮影時のエピソードや猿飛佐助役についての思いなどを語ってくれた。

「夏の陣」の戦闘シーンは雪のないロケ地として和歌山が選ばれたが、例年にない寒波に見舞われ、俳優陣もエキストラも半端ない緊張感で撮影。「寒い中、野ざらしになっていてもニコニコして槍を持って立っているおじいさんたちの所に、決死の覚悟で斬りこんで行くのは辛かった」と述懐。また勘九郎が全身火だるまになるシーンでは、周りの制止もきかず、事務所社長にも内緒でスタントマンなしで自ら決行。「熱くはなかったが、カツラが燃える臭いで怖くなった」。戦争に対しては、「お芝居で戦っていても怖いのに、実際に殺し合うなんて、考えられません」。


sanadajuyushi-kanku-1.jpg勘九郎にとって猿飛佐助は、「子供の頃からのヒーローで、明るく朗らかでストレスフリーのキャラクター。演じていてとても楽しい」。今回は、映画だけでなく、あの過酷な舞台公演もあるということで、最初この企画をもらった時には落ち込んだそうだ。大掛かりなセットを飛び回ったり殺陣を演じたり終始激しく動きまわるので、1回の舞台で体重が3~4㎏は減るという。舞台での佐助役へのアプローチも、「パワーを保持しながら、映画で育んだシリアスな感情面も反映できれば」という勘九郎は、「十勇士チーム一丸となって演じる痛快時代劇エンタテイメント『真田十勇士』を楽しんで頂きたい」と結んだ。


(河田 真喜子)

 公式サイト⇒ http://sanada10braves.jp/

(C)2016『真田十勇士』製作委員会

 

カテゴリ

月別 アーカイブ