制作年・国 | 2015年 日本 |
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上映時間 | 1時間35分 |
監督 | 小西未来 |
出演 | 久慈浩介、フィリップ・ハーパー、ジョン・ゴントナー、鈴木大介他 |
公開日、上映劇場 | 2016年7月29日(金)~シアター・イメージフォーラム、8月27日(土)~MOVIX京都、9月3日(土)~シネ・リーブル梅田、10月8日(土)~元町映画館ほか全国順次公開 |
~日本酒の醍醐味と魅力を発信し続ける三者三様の人生模様~
お仕事で、京都・伏見の酒蔵をお訪ねして、酒造りに関わる人々から「へえ~!」という裏話なども聞き、ますます日本酒に興味を持ったのだが、哀しいかな、近年、ワインや焼酎ブームに押され、国内での消費量は右肩下がりだそう。何とか若い人々にもアピールしたいと、大手酒造メーカーは日本酒カクテルなど新しい味わい方を提案したりしてきたが、それはちょいと邪道ではないか?本当に美味しい日本酒ならば、変なアレンジなどせず、そのまんまで勝負してほしい…な~んて思ってるうちに、日本酒そのまんまの魅力をきちんと理解してくれるようになったのが、なんと外国人!和食が世界文化遺産に登録され、良質の日本酒が海外でも注目されることが多くなり、輸出量はけっこう伸びていると聞く。そんななか、日本酒とともに人生を歩んでいる三人の男たちに焦点を当てたドキュメンタリーが生まれた。そのうちのふたりは外国人だ。
岩手県の『南部美人』五代目蔵元の久慈浩介さんは、ぽっちゃりとした体型で人懐こい笑顔。彼は日本酒の未来を考え、常に挑戦し続けようとする熱きハートの持ち主であり、日本酒輸出協会を立ち上げ、自慢の銘酒を携えて世界を駆け巡る敏腕な営業マンでもある。地元ではどこへ行っても蔵元の跡継ぎとしか見てもらえなかった少年時代の居心地の悪さ、実際に酒造りの現場で働き始めて知った日本酒の奥深さ、営業活動で味わった“名の売れていない酒”への世間の冷たさなど、さまざまなエピソードが出てくる。極めつけは、東北大震災後の自粛ムードの中、彼が発したメッセージだ。
フィリップ・ハーパーさんはイギリスのコーンウェル出身で、外国人初の杜氏となったひと。現在、京都府久美浜の木下酒造で腕をふるっている。彼は嫌な経験があったらしく、マスコミなどに出るのを断り続けてきたそうだが、小西監督のたっての願いでこの映画に登場した。日本から遠く離れた場所からやって来て、なんでまた杜氏に?という疑問を、堪能な日本語で少しずつ語ってくれる。日本人以上に日本人的感性を持つ彼にきっと驚くことだろう。それも現代の日本人でなく、古き良き時代の日本人みたいなのだから。手間暇かかる酒造りの仕事にどんなに情熱を注いでいることか!
もうひとりは、日本酒の魅力を英語で伝え続けるジャーナリストのジョン・ゴントナーさんで、彼はアメリカのオハイオ生まれ。日本にやって来て日本酒にハマった彼は、庶民的な居酒屋に足しげく来店したそうで、そういう姿はかなりユニークであったろうと想像する。多くの日本人がビールだ焼酎だワインだと騒ぐのを横目に、彼は日本酒の歴史や造り方、味わい方をきっちりと学び、本当に旨い日本酒を味わえる店のリサーチまでやってのけ、国内外で講義やセミナーなども精力的に展開。アメリカで日本酒の醸造所が誕生し、それにも関わっているのだが、まさに“日本酒愛”だ。
構成的に少し単調な部分も感じられるが、日本酒が与えた衝撃力と、三人のキャラクターに引き込まれてしまった。そして思うのだ。人生の転機について。その時は意識しなくとも、人を導いていく転機、人生を決定づける転機というものがあることを。ただ、そのような幸運の転機はまあそうそうあるものでもないのだけれど。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://kampaimovie.com/
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★ 『カンパイ!恋する日本酒』の京都公開を記念しトークイベント付き上映を開催いたします。
“木下酒造”木下社長と“いなせや真”森口真さんをお呼びし、木下酒造の今、フィリップ・ハーパーさん(本作にもご出演の外国人初の杜氏)について語っていただきます。
また、木下酒造【玉川】の振舞い酒でカンパイ!なども予定しております。
<日程> 8月27日(土) 14:30の回
<場所> MOVIX京都 京都市中京区新京極三条下ル
<出演> 木下酒造 代表取締役社長 木下善人
日本酒専門店 いなせや真 店主 森口真
<内容> 木下酒造の今、フィリップ・ハーパーさんについて語るトークショーと
【玉川】の振舞い酒でカンパイ!