原題 | WHILE WE’RE YOUNG |
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制作年・国 | 2014年 アメリカ |
上映時間 | 1時間37分 |
監督 | ノア・バームバック |
出演 | ベン・スティラー、ナオミ・ワッツ、アダム・ドライバー、アマンダ・サイフリッド、チャールズ・グローディン、アダム・ホロヴィッツ他 |
公開日、上映劇場 | 2016年7月22日(金)~TOHOシネマズみゆき座、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSほか全国順次公開 |
~ジェネレーション・ギャップのおかしさと皮肉に、
共感したり、切なくなったり~
“誰もが持ってる携帯電話”という状況になった時にも、なかなか手を出そうとしなかった私は、「世の中に乗り遅れるよ」と言われた。街中から公衆電話がどんどん消えていって、仕事にも支障をきたすようになってしぶしぶ持つようになったのだが、アマノジャクな私は「世の中に乗り遅れないことがそんなに大事なんやろか?」と考えたりもしていた(でも、どこかで不安感も抱いていたことをあっさり認めよう)。この映画の二組の夫婦は40代と20代。世の中に乗り遅れたくないと思ってる40代夫婦が20代夫婦と出会って右往左往、彼らのアイデンティティの行方をじっと見ていると、自分との共通項もあって、実に面白いんだなあ、これが。
近頃、アートな人たちが移り住んで、街の雰囲気がオシャレっぽくなったと注目されているニューヨーク・ブルックリン。ドキュメンタリー映画監督のジョシュ(ベン・スティラー)と、映画プロデューサーのコーネリア(ナオミ・ワッツ)は子どものいない40代の夫婦で、心身ともに自分たちはまだまだ若いと思っている。そういう彼らにとって、子どもができると人生が変わったと力説する友人夫婦はなんだかウザい。そんなある日、アートスクールでジョシュの講義を聴いた20代の夫婦、ジェイミー(アダム・ドライバー)とダービー(アマンダ・サイフリッド)が声をかけてくる。監督志望のジェイミーに「あなたのファンです」と言われ、売れない映画監督のジョシュは舞い上がってしまい、妻のコーネリア共々、この若い夫婦とお付き合いすることになるのだが、彼らの“意外な”魅力にはまってしまい…。
自分たちの青春時代を彷彿とさせる感性や暮らし方を、若い夫婦に見たジョシュとコーネリア。マンネリ化した毎日を一新させる刺激と感じ、強い影響を受ける姿は実によく理解できる。そして理解できるけれど、滑稽であるとも言っておこう。ジョシュが関節炎を患って医者にひとこと言われる場面、コーネリアがヒップホップダンスに入れ込む場面など、アイロニーを含んだ滑稽さはまさにウディ・アレン的だと思ってたら、ノア・バームバック監督は“次世代のウディ・アレン”などと称されているらしい。やっぱりね。
さてさて、この映画はどんなふうに終わるのか。その結末もまたウディ・アレン風である。大きなくくりとしてのジェネレーション特性のほかに、当然ながら、生きてきた環境や、それぞれの感性や倫理観などによる個体差というものがある。その意味で、ジョシュとコーネリアは似たもの夫婦であるけれど、要領のいいジェイミーと彼に引きずられているようなダービーは少し違う。“自分らしさ”とか“自分さがし”という言葉を映画作品に当てはめるケースが多いが、本作においては40代夫婦のほうが真の自分たちの姿に立ち返ろうとする。人は簡単に変わり、そして簡単には変わらない。改めて気づかされるドラマだ。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://www.youngadultny.com/
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