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『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』

 
       

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作品データ
原題 A Royal Night Out 
制作年・国 2015年 イギリス 
上映時間 1時間37分
監督 ジュリアン・ジャロルド(『キンキー・ブーツ』『ジェイン・オースティン 秘められた恋』)、撮影:クリストフ・ボーカルヌ(『ココ・アヴァン・シャネル』『美しい絵の崩壊』『美女と野獣』)
出演 サラ・ガドン(『危険なメソッド』『コズモポリス』)、ベル・パウリー、エミリー・ワトソン、ルパート・エヴェレット、ジャック・レイナー
公開日、上映劇場 2016年6月4日(土)シネスイッチ銀座、6月11日(金)~シネ・リーブル梅田、京都シネマ、6月25日(土)~シネ・リーブル神戸 他全国順次公開

 

歴代王位最長記録を更新中のエリザベス女王、
“最も愛される女王”の原点は、戦勝祝賀の夜のお忍び外出にあった

 

1945年5月8日、6年も続いた戦争がドイツの降伏調印式をもって終結し、空襲の恐怖や窮乏生活からの解放の喜びと勝利祝賀ムードに沸くロンドン。兵士たちも続々と帰還し街は狂喜乱舞の熱気で溢れていた。宮殿の中だけで育ってきた二人のティーンエイジャーの王女たちにとって、その興奮を抑えきれるはずがない。グレンミラーサウンドの「イン・ザ・ムード」に合せてジルバを踊りたいと居ても立ってもおられず、お忍びで歓喜に沸く街へと繰り出していく。


royalnight-500-1.jpg初めて知る大衆の生活や心情や街の光と闇の部分、そして若い男性との会話など。今年90歳を迎えられた英国のエリザベス女王が19歳の王女の時に、4歳下の妹マーガレット王女とお忍びでロンドンの街へ繰り出したという史実を基に、一夜のアバンチュールを物語にしたのが『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』である。世間知らずの王女たちの危なっかしい冒険あり、ドキドキするロマンスありと、とびきりゴージャスなロイヤルな青春映画。


1952年の戴冠以来63年、歴代王位最長記録を更新中のエリザベス女王だが、あの戦勝記念日の夜、まるで『ローマの休日』のアン王女のように宮殿を抜け出して、活気あふれる市井の人々との交流を楽しんだというのだ。よく国王のジョージ6世は許したなと思われるが、いずれ王位に就く長女エリザベスを思い計って、若い女性らしい自由な体験をさせてやりたいという親心があったようだ。その後の長年に渡る女王として重責を思えば、たった一夜の冒険が遠いキラ星の如くせつなくも愛おしく感じられる。


royalnight-500-3.jpgエリザベスを演じたサラ・ガドンはカナダ出身だが、見事なまでに気品に満ちた王女を演じている。『危険なメソッド』で初めて彼女を見た時、なんて中世貴族のような品格のある顔立ちの人なんだろうと、その美しさに驚いた。「今夜が最初で最後のチャンスかもしれない」と国王夫妻に訴える気丈さや、やんちゃな妹のマーガレットを追い駆けてロンドン中を彷徨う様子など、どのシーンでも彼女の美しい佇まいに目が釘付けになる。


一方、妹のマーガレット王女は、エリザベス女王とは対照的に奔放な性格なのか、大人になってからもスキャンダルが度々取り沙汰されてきた。そんな噂のマーガレット王女からして、あの夜のやんちゃぶりは納得できる。知らない男性にホイホイついて行く無防備さにはハラハラする。だが、実際のマーガレット王女は映画女優のような美人で大変に魅力的な人だったようだ。一心に愛を捧げた初恋の人と結ばれなかったことが、その後の彼女の人生に暗い影を落とし、不幸な結婚生活や様々なスキャンダルを生んだ原因となった。ベル・パウリーが演じたマーガレットには少し違和感を覚えた。


royalnight-500-2.jpg軍組織に翻弄され危険な目に遭ってきた帰還兵を演じたジャック・レイナー。体制への不満から脱走したものの、ひと目母親に会ってから外国へ逃げようとするが、王女と知らずエリザベスに付き合っていく内に次第に彼女の誠実さにほだされていく。レディとして尊敬に値する女性がもつ気品は、周囲を浄化する力があるようだ。世間知らずの王女が、その後もっとも国民に愛される女王として長きに渡って君臨することになろうとは…その片鱗を感じさせる王女の初々しさがまぶしい。


(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://gaga.ne.jp/royalnight/

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