原題 | Alice Through the Looking Glass |
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制作年・国 | 2016年 アメリカ |
上映時間 | 1時間53分 |
監督 | ジェームズ・ボビン |
出演 | ジョニー・デップ、アン・ハサウェイ、ミア・ワシコウスカ、リス・エバンス、ヘレナ・ボナム=カーター、サシャ・バロン・コーエン |
公開日、上映劇場 | 2016年7月1日(金)~全国ロードショー |
時計仕掛けの心臓を持つ「時間」の番人との、
残酷だけれど美しい「時間」をめぐる戦い。
止めることも巻き戻すことも、追い越せもしない「時間」の無常を恨めしく思い、“もし、過去を変えられたなら”と妄想してみても、やるせなく自嘲するのが関の山? 3年前、自ら人生を選び取ったアリスが、今作で「時間」との戦いに挑む理由もまさに“過去を変えたい”から。大切な友情を守るために危険な冒険に身を投じるアリスの姿は、私たちが良く知る人の分身なのかも。想像もつかない「時間」の旅の果て、アリスはどんな未来を切り開くのだろう。そして、「時間」の無常の重さが意味するものは…。
亡き父の遺したワンダー号の船長となり、世界をめぐる刺激的な日々を過ごしていたアリス(ミア・ワシコウスカ)は帰国後、元婚約者の嫌がらせにあいワンダー号を手放さなくてはならなくなる。愛する父を、大切なものを奪っていく残酷な「時間」が許せないけれど、過去は変えられない。不可能だと諦めることが大嫌いなアリスにもなす術がないのだ。その時、芋虫から美しい青い蝶に成長したアブソレム(声アラン・リックマン/遺作)が姿を現して…。
ワンダーランドの懐かしい仲間たちと再会したアリス。現実の世界で自分を見失いかけていた彼女には、死んだはずの家族が生きていると信じ重い病気になってしまったマッドハッターの思いを受け止めることができない。失望し“君はボクのアリスじゃない”と心を閉ざすマッドハッターの言葉が、アリスの胸に突き刺さる。前作のハジけっぷりから一転、悲しみに沈んだ病床のマッドハッターを、はかなげに演じたジョニー・デップ。輝く太陽のオレンジ・ヘアーが色を失っていくさまは、なんとも痛々しい。
マッドハッターを救うには“過去を変えるしかない”と考えた白の女王(アン・ハサウェイ)から命運を託され、不可能なミッションに“禁断の方法”で挑むアリス。「時間」を操る半身人間、半身機械の番人タイム(サシャ・バロン・コーエン)が棲む城から、門外不出の動力源クロノスフィア(タイムマシンにトランスフォームする)を盗みだし、ワンダーランドの過去へと旅立つ。ところが、怒り狂うタイムとの攻防戦に乗じ、赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)は復讐の時を狙っていた。
鏡を通り抜ける、すべてがあべこべの鏡像の部屋や「時間」の海、過去のワンダーランドとアクティブに活躍するタフなアリスが新鮮。ティム・バートン監督が生みだした華美を極めた独創的な映像世界を受け継いだ本作では、ほかにも遊び心にひと工夫あり。アートな衣装を始め、万物の大時計とシンクロする時計仕掛けの心臓を持つタイム、1分1秒を象徴する歯車ロボットに、幻想的な「時間」の城など、新キャラやビジュアルなシーンには目を奪われるし、主要キャラの幼少期や赤の女王の頭が大きい秘密など悲喜こもごものエピソードも描かれていて、ファンならずともくすぐられそう。
(映画ライター:柳博子)
公式サイト⇒ http://www.disney.co.jp/movie/alice-time.html
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