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『レジェンド 狂気の美学』

 
       

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作品データ
原題 Legend  
制作年・国 2015年 イギリス・フランス 
上映時間 2時間11分
監督 ブライアン・ヘルゲランド
出演 トム・ハーディ、エミリー・ブラウニング、デヴィッド・シューリス、クリストファー・エクルストン、チャズ・パルミンテリ、タロン・エガートン、ポール・アンダーソン、コリン・モーガン他
公開日、上映劇場 2016年6月18日(土)~YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、テアトル梅田、シネマート心斎橋、7月16日(土)~シネ・リーブル神戸、7月30日(土)~京都シネマ 他全国順次公開

 

圧倒的な一人二役の熱演に目が釘付け!
伝説の双子ギャングが歩いた裏街道を描く

 

1960年代のイギリスが発信した、ザ・ビートルズをはじめとする音楽やファッション、アートなど文化的エッセンスは歴史に華やかな刻印を残しているが、同じ時代、ロンドンの裏社会に名を刻んだふたりの男がいた。兄のレジナルド・クレイ(通称レジー)と、弟のロナルド・クレイ(通称ロン)だ。一卵性双生児のクレイ兄弟は、19世紀の連続殺人鬼“切り裂きジャック”と並ぶほど、イギリス犯罪史上ではよく知られているそうだが、本作で彼らの凶暴さ、したたかさ、そして一度手を染めてしまうとそこから脱出不可能な裏社会の闇の深さ、道をはずれた人の哀しさなどを十分に味わうことができる。


lejend-500-1.jpg性格は全く異なるレジーとロン。頭脳派と目されたレジーと比べ、弟のロンは情緒不安定で、キレると手がつけられなくなるほどだ。そんな二人が組んで、ロンドンを支配下におさめるギャングのリーダーとなっていく。危ない橋も渡っていくのだが、レジーにとって“守るべきもの”が現れた。フランシスというキュートな女性だ。フランシスは堅気の家庭に育ち、親はもちろん結婚に大反対。だが、『ロミオとジュリエット』ばりのレジーの求愛に応え、家庭を持つのだったが…。


lejend-500-2.jpg成功と破滅、ギャングのたどった道を、フランシスの視点も交えてじっくりと描き込んでいく。“フツーの家庭人”になどけしてなれないレジー、そんな夫との間に広がる溝に苦しめられるフランシス。また、レジーとロンの間にも大きな溝が横たわり始める。ビジネスやライバル組織の仕切り方などで、だんだんと考え方の違いが露呈する。そんな彼らの天下が永久に続くわけがない。重大なミスを犯せば、虎視眈々と狙ってくる輩がいるのだから。


lejend-500-3.jpgとにかく、レジーとロンの二役を鮮烈に演じ分けたトム・ハーディに拍手!一卵性双生児という設定だが、外見ににじみ出てくる性格の違いまで体現し、似ているけれど明らかに別人、と一瞬で感じさせるオーラを放ってくるのだから凄い。兄弟が絡むシーンの撮影は大変だっただろうが、全く違和感がない。エミリー・ブラウニングがフランシスを演じ、ベテラン勢ではデヴィッド・シューリスのほか、個人的には『ユージュアル・サスペクツ』に捜査官役で出てたチャズ・パルミンテリが、かなり年輪を感じさせる風貌で登場し、それもなかなかに印象深かった。


(宮田 彩未)

公式サイト⇒ http://www.legend-movie.net/

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