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『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』

 
       

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作品データ
原題 De Surprise 
制作年・国 2015年 オランダ 
上映時間 1時間45分
監督 監督:マイク・ファン・ディム (『キャラクター/孤独な人の肖像』(1997年/第70回アカデミー賞外国語映画賞受賞))  撮影監督: ロヒアー・ストファース (『スクール・オブ・ロック』『ディスタービア』)
出演 イェルン・ファン・コーニンスブルッヘ(『LOFT-完全なる嘘-』)、ジョルジナ・フェルバーン(『人生はマラソンだ!』)、ヤン・デクレール(『キャラクター/孤独な人の肖像』『ザ・ヒットマン』)、ヘンリー・グッドマン(『ノッティング・ヒルの恋人』『ウッドストックがやってくる!』)
公開日、上映劇場 2016年5月28日(土)~新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー

 

やっと見つけた、ボクの人生!
天使か悪魔か、奇妙な代理店のとんだサプライズとは?

 

コミック・ベースのイケメン主役、そんな映画が雨後の筍のように量産されている日本映画界とは、文化レベルの違いを見せつけられるような良質なラブ・ストーリーだ。オランダ発の『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』は、ベルギーの自殺幇助を裏稼業にしている葬儀屋に、いつどこでどんな方法で死ぬか分からない“サプライズ・コース”を依頼したオランダの自殺願望の男が、思わぬ“サプライズ”で幸せをゲットするという、なんとも危険すぎるラブ・コメディなのだ。おまけに主役のヤーコブを演じたイェルン・ファン・コーニンスブルッヘは、オランダでは大人気のコメディアンで、この役のために17㎏も減量したらしいが、お世辞でもイケメンとは言い難い。そんなヤーコブの憂鬱が喜びに変わっていくサプライズな展開に、いつの間にかヤーコブを応援せずにはいられなくなる。


Surprise-500-1.jpgヤーコブは、侯爵家の末裔で大富豪の跡取り息子。狩猟もできる広大な敷地に大小の宮殿級の大豪邸で大勢の使用人に囲まれてたった一人で住んでいる。何台もの高級ヴィンテージ車がずらりと並んでいても、心は冴えない。別に世をはかなんで死にたい訳ではないのだ。そもそも母親が亡くなっても悲しめず、喜怒哀楽を感じなければ欲もない。生きる意味を見出せない、ただそれだけなのだ。


Surprise-500-2.jpg「今すぐにでも死にたい」とやってきた天蓋孤独の大富豪は、その奇妙な代理店でアンネ(ジョルジナ・フェルバーン)という美しく利発な女性に出会う。アンネもまた“サプライズ・コース”を依頼した客とあって二人は意気投合。やたら車に詳しいアンネと毎日違う高級車を乗り回しては“サプライズな逝き方”を待っていた。ところが、40歳になる今まで若い女性と付き合ったことのないヤーコブにとって、アンネの登場そのものがサプライズとなった。


Surprise-500-3.jpg年寄り相手に踊っていたダンスも、アンネ相手に踊ると自分の得意技だということに初めて気付く。不思議な魅力のアンネと最後の日々を送るうち、今まで気付かなかった周囲の人々のことや、身近な楽しみや生きる喜び、女性を愛する喜びを初めて知ることになる。ところが、一旦結んだ契約は解除できず、予測不能な暗殺の危機が迫ってくる。この大富豪にとって人生の素晴らしさに気付いたこと自体がサプライズなのだ。


Surprise-500-4.jpgこんな豪華なラブ・コメ見たことない!それもそのはず、1997年に発表した『キャラクター/孤独な人の肖像』で第70回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したマイク・ファン・ディム監督が、18年の沈黙を破って長編映画2作目に挑んだのが本作。前作で主演を務めたヤン・デクレールが主人思いの誠実な執事を演じて、大いなるサプライズに寄与している。前作の暗い重厚な作風とは全く違う明るい色合いだが、感情を持てない40歳の坊ちゃまの奇妙さやいろんなサプライズの連続、役者や美術も全てにおいて、エクセレント!ヨーロッパ仕様の高級車に乗った気分が楽しめる逸品。


(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://sutekinasurprise.jp/

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