原題 | 原題:LE TOUT NOUVEAU TESTAMENT/THE BRAND NEW TESTAMENT |
---|---|
制作年・国 | 2015年 フランス、ベルギー、ルクセンブルク |
上映時間 | 1時間55分 PG12 |
監督 | 監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル(『トト・ザ・ヒーロー』『ミスター・ノーバディ』『八日目』) 脚本:ジャコ・ヴァン・ドルマル、トーマス・グンズィグ |
出演 | ブノワ・ポールヴールド『チャップリンからの贈りもの』、ヨランド・モロー(『ミックマック』『セラフィーヌの庭』)、ピリ・グロワーヌ『サンドラの週末』、カトリーヌ・ドヌーヴ(『シェルブールの雨傘』『昼顔』『8人の女たち』)、フランソワ・ダミアン『エール!』 |
公開日、上映劇場 | 2016年5月27日(金)~TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条、西宮OS) 他全国ロードショー |
世の中の不幸はぜんぶ神様のせいだったの?
神様の娘エアがひき起こす奇跡が、
新たな「新約聖書」を綴るブラック・コメディ♪
「神様お願い…」という祈りもむなしく、神様は本当はとんでもない悪魔みたいだった!? ―― ベルギーから届いた奇妙な映画は、10歳の神様の娘エアが小さな奇跡を起こしながらいじわるな神様の手から人間を救おうと奮闘するとびきりキュートな物語。全知全能の力を悪用してパソコンで人類の運命をいたずらに左右する暴君のような神様と、「運命に縛られずに自由に生きてほしい」と人類に余命を知らせる一斉メールを送信してしまうエア。ブリュッセルを舞台に繰り広げられる父娘の奇跡の応酬は街を大混乱に陥らせるが、余命を知った人間たちが“本当に生きる”ことに目覚めハッピーになっていく。キリスト教のパロディのようなブラックな笑いにあふれた“とんでもハップン”の映画は、バチの当たらない奇跡の映画でもあるのだ。
神様には妻の女神との間に息子のイエス・キリスト(JC)と、エアという10歳の娘がいて、ブリュッセルのアパートで家族一緒に暮らしている。ところが、神様は家族をアパートから一歩も出さず暴力的に支配していた。暴力亭主に耐えている妻の女神は刺繍と野球が大好き。息子のイエス・キリストは偶像にされてリビングに飾られている。そんな父に耐え兼ねて家出したエアは、それを追ってきた神様から逃げながら次々と小さな奇跡を起こしていく。自分の余命を知った人間たちが新たな生き方を求め勇気を発揮していく様子や、エアが初めて恋心を抱く様子など、人間が新たに何かを始める時に発揮する力にときめいてしまう。そして、救世主の12人の使徒に加え、新たな使徒となる6人による「新・新約聖書」が綴られていくことになる。
あの大女優カトリーヌ・ドヌーヴが、夫に愛されずゴリラと恋に落ちる寂しい主婦役を、相変わらずのエレガントさで演じている。ゴリラとのラブシーンは、“昼顔”もここまできたかと、びっくり! さらに、『エール!』で優しいお父さんを演じたフランソワ・ダミアンは、保険屋を辞めてスナイパーに転職して、絶対に死なない孤独な美女とめぐり逢い恋に落ちる。女の子になりたいという思いを最後に叶えるエアと同じ歳の男の子。他にも、冒険家を夢見ていた男が鳥の群れを追い駆けて北極まで辿り着く様子など予測不可能な展開を、日常生活から大自然へのアプローチと美しく輝くような不思議な映像で魅了する。さらに、おっとりとした女神が最後に見せる奇跡は、この世の不条理さに遭遇しても決して諦めてはいけない、という不思議な力を実感させてくれる。それはひとり一人の命の輝きにも似て、醜い世の中から生まれた“奇跡のような映画”を目撃した喜びに変わっていく。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://kamisama.asmik-ace.co.jp/
© 2015 - Terra Incognita Films/Climax Films/Après le déluge/Juliette Films Caviar/ORANGE STUDIO/VOO et Be tv/RTBF/Wallimage