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『ハロルドが笑うその日まで』

 
       

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作品データ
原題 Her er Harold   
制作年・国 2014年 ノルウェー 
上映時間 1時間28分
監督 監督・脚本:グンナル・ヴィケネ 
出演 ビョルン・スンクェスト、ビヨルン・グラナート、ファンニ・ケッテル
公開日、上映劇場 2016年4月16日(土)~YEBISU GARDEN CINEMA、4月30日(土)~シネ・リーブル梅田、順次~京都シネマ、シネ・リーブル神戸 ほか全国順次公開

 

~IKEA創業者を誘拐!?
 家具職人の意地と誇りを賭けたリベンジの果てに見えたもの~

 

かつて北欧家具といえば、丁寧な作りの高級家具というイメージだった。だが、スウェーデンからリーズナブルな値段とカラフルで機能的なデザインが魅力のIKEA(イケア)が世界進出してから、家具業界も大きく二分化されてきている。安価で消耗型のIKEAは、若い世代から人気に火が付き、伝統技術による高品質の家具とは対照的だ。その高級家具の製造販売を代々経営してきたハロルドは、IKEAのせいで愛する妻も店も全てを失ってしまい、切羽詰まったハロルドじいさんは大胆不敵なリベンジに出る。


Harold-500-1.jpg「IKEAの創業者が実名で登場!?」…実名ですが、創業者本人ではなく俳優が演じています。というのも、「真冬にIKEAの創業者を誘拐してリベンジする」というお話ですから、凍った湖に落ちるシーンや殴り合うシーンなどかなりハードなアクションがあるため、御年86歳のカンプラート氏にはさすがに無理。それにしても、ハロルド役のビョルン・スンクェストもIKEAの創業者役のビヨルン・グラナートも、70歳になってようやるわ!…IKEAの創業者カンプラード氏に一矢報いようとするハロルドだったが、思わぬ方向に進んでしまう。


販売する家具に対する考えは違うものの、同世代を生きた者どうしの意外な共通点や、家族に大事にされていない孤独な老人という同じ境遇といい共感することも多く、何のために誘拐したのか分からなくなってしまう。飄々としたまったく緊迫感のないドジだらけの誘拐劇にどことなく共感しながら、いつの間にか「頑張れ!明日があるさ♪」などと応援したくなるから不思議だ。
 


【STORY】
ハロルドは代々北欧家具の伝統を大切に守り続けて質の高い家具を提供してきた。ところが、隣地にIKEAがオープンして以来、客足は途絶え倒産してしまった。それと連動して長年連れ添った妻は認知症を悪化させ、あっけなく死んでしまう。思い余ったハロルドは店に火を付け焼身自殺をはかるが、自動消火栓が働いてあえなく失敗。生き残った以上、退路を断って、IKEAへのリベンジを決行するのみ。


Harold-500-3.jpgそこで、新聞社に勤務する息子を訪ねていくと、リストラされた上に妻子にも見捨てられ、これまた情けない状態。家の中はIKEAの家具だらけ。ハロルドが作った自慢の椅子は物置で踏み台にされている始末。ハロルドの愛する息子も椅子も無用の長物のような扱いをされて、増々絶望的になる。ハロルドは、息子を当てにせず、ひとり誘拐を決行しようとスウェーデンへ向かう。


途中、ちょっと変わったスウェーデンの少女に出会う。ノルウェー人のハロルドに興味を持ち、IKEA社長宅を教えると言って同行する少女もまた、男運のない母親に振り回されて問題を抱えていた。別人の家に押し入ったり、少女の母親の愚痴を夜通し聞かされたり散々だったが、雪道で車が故障して立ち往生している老人を助けたところ、なんとカンプラード氏本人だった。


Harold-500-2.jpg早速拉致して隠れ家に連れて行くが、これがまた怖がるどころか、人の話をまったく聞こうともせず勝手に喋ってばかり。クリスマスだというのに家族は誰も心配する様子がない。思わぬ事態に呆気にとられるハロルド。憎きカンプラードの意外な面に触れ、リベンジよりも自分の生き方を見つめ直していく。


(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://harold.jp/

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