原題 | Qu`est・ce qu’on a fait au Bon Dieu? |
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制作年・国 | 2013年 フランス |
上映時間 | 1時間37分 |
監督 | 監督・脚本:フィリップ・ドゥ・ショーヴロン |
出演 | クリスチャン・クラヴィエ、シャンタル・ロビー、フレデリック・ベル、メディ・サドゥアン、他 |
公開日、上映劇場 | 2016年3月19日(土)~YEBISU GARDEN CINEMA、4月2日(土)~シネ・リーブル梅田、4月30日(土)~シネ・リーブル神戸、5月7日(土)~京都シネマ ほか全国順次公開 |
~4人の美しい娘たちの結婚相手がみんな外国人!?
一家に発生した国際問題の解決方法とは?~
なかなか親の理想通りにはいかないのが、子供の結婚相手。4人の美しい娘たちの誰ひとりとしてフランス人のお婿さんを連れてこないと嘆く、フランスはロワール地方に住む敬虔なカソリック教徒のヴェルヌイユ夫妻。娘たちの結婚相手をめぐる騒動記は、現代の西側ヨーロッパを象徴しているようで、多民族間に必要な和解や寛容さをコミカルに描いている。フランスは異人種間結婚が世界一だそうで、なんと既婚者の20%も占めるとか。ショーヴロン監督自身もアフリカ系女性と結婚しており、周囲の同じような体験者からもリサーチして本作の脚本を書き上げている。アラブ、ユダヤ、中国、アフリカと、顔を合わせる度にそれぞれ優劣を競ったり反目し合ったりと、痛烈な皮肉をユーモアに包んで楽しませてくれる。
冒頭、長女はアラブ人と、次女はユダヤ人と、三女は中国人と、美しい娘たちの結婚式が立て続けに映される。次第に暗い顔つきになっていくヴェルヌイユ夫妻。みんなが笑顔の集合写真でも夫妻だけが笑ってない。それだけでこの夫妻の悩みが手に取るようにわかる。さらに、宗教的行事やお祝い事などでみんなが寄り集まる場では、必ず婿同士の言い争いが始まり、その都度夫妻は憂鬱になる始末。婿同士が人種について嫌味を言い合ったり、仕事のことで反目し合ったりと理由は様々。ここで語られる婿たちの言い分こそ、フランスにおける多民族間の率直な意見ともとれるが、そこに日本人が入ってなくてホッとするくらい辛辣だ。
ヴェルヌイユ夫妻は婿たちにできるだけ寛容に接してきたが、さすがに四女の結婚相手がアフリカ系の男性と聞いてショックを隠せない。父クロード(クリスチャン・クラヴィエ)は狂ったように庭の木を切り倒し、母マリー(シャンタル・ロビー)はうつ病になって寝込むは、四女ロール(エロディー・フォンタン)の結婚に黄色信号がつく。だが、相手のシャルルはコートジボワール出身のカソリック教徒。宗教面ではクリアしているのだが、彼の家族にとってもフランス女性ではなく母国の女性と結婚してほしいと願っていたのだ。特に、反対していたシャルルの父親は、結婚式の料理や招待客や費用などについて、何かと文句を言う。そんなシャルルの父親とクロードが魚釣りに出掛け思わぬ展開を見せる辺りは、「和解と寛容」というテーマを象徴しているようで面白い。
古城めぐりで有名なロワール地方を舞台に、新緑が美しい初夏の風景の中、多民族がてんやわんやの大騒動を繰り広げるこの結婚狂騒曲は、フランスだけの問題ではなく世界中の人々の共感を得られるに違いない。現在、難民問題やテロ事件で揺れるヨーロッパだが、このような映画を通じて少しでも多民族の宗教や文化への理解に繋がればいいなと、心から願わずにおられない。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://www.cetera.co.jp/hanamuko/
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