原題 | Inside Men |
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制作年・国 | 2015年 韓国 |
上映時間 | 2時間10分 R15+ |
原作 | ユン・テホ(ウェブ漫画『黒く濁る村』『ミセン‐未生‐』) |
監督 | 監督・脚本:ウ・ミンホ(『スパイな奴ら』) |
出演 | イ・ビョンホン(『王になった男』『悪魔を見た』『甘い人生』『メモリーズ 追憶の剣』)、チョ・スンウ(『マラソン』『下流人生』)、ペク・ユンシク、イ・ギョンヨン、キム・ホンパ、ペ・ソンウ、チョ・ジェユン、キム・デミョン |
公開日、上映劇場 | 2016年3月11日(金)~TOHOシネマズ(梅田、なんば、西宮OS)、T・ジョイ京都、他全国ロードショー |
イ・ビョンホン主演の韓国映画に駄作ナシ!
アメリカナイズされたスタイリッシュなシャープさで一気に惹き込む痛快巨編
悪になびくのはたやすく、欲が善を揺るがせ心を惑わせる。イ・ビョンホンの最新作は、政財界の癒着と闇のフィクサーが絡む悪の巨塔に挑む若き検事とヤクザという構図を、アメリカナイズされたスタイリッシュなシャープさで一気に惹き込む痛快巨編。大手新聞社の論客の兄貴分のために影となって尽くし裏切られるヤクザを演じたイ・ビョンホンは、残酷さや狡猾さに加え子分思いの優しさを見せるどこか憎めない三枚目の役柄を、今まで見たこともない表情で魅了する。さらに、密かに復讐心をたぎらせるニヒルな男に変貌する辺りは圧巻!ハリウッドでも大活躍のイ・ビョンホンだが、近年の韓国映画での主演作に駄作ナシ。決して観客を裏切らない最も信頼できる俳優と言えるだろう。
財閥と政治家の癒着というよくあるパターンに有力新聞社のベテラン記者を絡ませ、国家と国民をないがしろにする悪人たちの厭らしさと傲慢さを今までにない視点で大胆に描ききる。韓国映画特有の容赦ない残酷な暴力と性描写を逆手にとって、滑稽なほどに明るく軽快に撮っている。日本の時代劇によく登場する「おぬしも悪じゃのう(笑)」的な悪役と、学歴もコネもない出世の可能性のない若き検事というパワーバランスの解りやすさに加え、チンピラ扱いされる底辺の男が意地を見せる辺りは、拍手喝采を贈りたくなる痛快さだ。それをテンポ良く役者の特徴を活かしながら見せ込む監督のセンスと技術力に脱帽。韓国ナンバーワンヒットも頷ける逸品。
イ・ビョンホンに子供の頃から憧れていたというチョ・スンウが、学歴もコネもない若き検事を演じ、その爽やかな笑顔が清涼剤のような役割を果たしている。1カット1カット丁寧に撮るイ・ビョンホンの演技には大いに刺激を受けたという。そして、ベテラン記者役のペク・ユンシクの品のある穏やかな表情にも驚かされた。あの笑みの奥に秘められたドス黒い悪意こそ本作の核心となるもの。絶対的存在の巨人に挑む小人のような構図だが、最後は小人が放つ針の一刺しによって、あっぱれなどんでん返しが見られる。思わず歓声をあげたくなる面白さだ。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://inside-men.com/
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