制作年・国 | 2016年 日本 |
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上映時間 | 1時間51分 |
原作 | 末次由紀『ちはやふる』講談社「Be-Love」連載 |
監督 | 小泉徳宏 |
出演 | 広瀬すず、野村周平、真剣佑、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希、清水尋也/松岡茉優、松田美由紀、國村隼 |
公開日、上映劇場 | 2016年3月19日(土)~TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ二条ほか全国ロードショー |
~競技かるたに捧げる青春と儚い恋が、キラキラ輝く~
2015年の邦画新人賞をほぼ総なめにした、『海街ダイアリー』の広瀬すず。綾瀬はるかや長澤まさみらの中でも、ひときわ輝く存在感と目力、そして十代の今ならではのハツラツさは衝撃的ですらあった。そんな広瀬すずの単独主演作が、上の句、下の句として前後編で連続公開される末次由紀原作マンガの映画化、『ちはやふる』だ。
高校で競技かるた部を新設するために奔走するところから始まる物語は、競技かるたの魅力はもちろん、全国大会に向けて練習を重ねる高校生の生身の姿をテンポよく映し出す。幼馴染役を演じるのは、昨年おおさかシネマフェスティバル新人賞を受賞以来テレビ、映画で大活躍の野村周平と、千葉真一の息子として脚光を浴びている注目の新人、真剣佑(マッケンユウ)。また、部員役に上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希と若手実力派俳優を揃え、競技かるたにかけた青春と揺れ動く恋心をぐいぐいと見せていく。
それにしても、競技かるたの世界が、運動部並の身体能力や反射神経が要求されるのに驚いた。次に読み手がどんな言葉を発するか、その声になる寸前の息づかいで読まれる札を取りに行く。恐るべき集中力だ。そんな競技かるたのクラブを作るために、学校でスカウトを始めるヒロイン千早(広瀬すず)は、幼馴染の太一(野村周平)、新(真剣佑)と小さい頃から競技かるたを楽しむ親友だった。競技かるた名人の祖父の血を引く才能の持ち主、新に対し、常に劣等感を持っていた太一。かるたに真っ直ぐな千早への思いを抱えながら、そばで見守る切ない役柄だ。一方、千早は常に全力投球。恋に気持ちを向ける余裕など全くなく、頭の中はカルタのことだけ。疲れ果てたら白目を剥いて寝るような、全く色気のないキャラクターを、広瀬すずがポジティブオーラいっぱいに演じている。まさにはまり役だ。
百人一首をこよなく愛する元弓道部員(上白石萌音)や、競技かるた経験者の「肉まんくん」(矢本悠馬)、そして机にかじりつく秀才の「机くん」(森永悠希)と、競技かるた部の面々も非常に個性的。同世代でも主役級というよりは、脇で輝くタイプの3人だが、団体戦ならではの力量の差という問題を抱えながら、強豪校相手にどんな戦いをみせるのか。前編のクライマックスの競技会シーンでは、他のチームが揃いのジャージで臨戦態勢の中、千早らは袴姿で登場!これがまた、よく似合う。百人一首の世界を味わうなら、こうでなくっちゃ!文化部の熱い青春模様、後編の『下の句』(4月29日公開)までたっぷり楽しんで。
(江口由美)