原題 | Scusate se esisto! |
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制作年・国 | 2014年 イタリア |
上映時間 | 1時間43分 (PG12) |
監督 | 原案・脚本・監督:リッカルド・ミラーニ |
出演 | 原案・脚本・主演:パオラ・コルッテレージ、その他の出演:ラウル・ボヴァ、マルコ・ボッチ、コラード・フォーチューナ、ルネッタ・サヴィーノ、チェーザレ・ボッチ |
公開日、上映劇場 | 2016年3月5日(土)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー |
~これが、イタリア式“女の生きる道”~
どうしてイタリアではダメなの? 海外で通用してもイタリアでは男性優位社会に阻まれて、女性は才能を活かしきれない。恋も仕事もやる気満々なんだけど……日本でも1985年に男女雇用均等法が制定されるまでは似たような状況だった。アラフォー女子のてんやわんやの大奮闘ぶりに思わず声援を送りたくなる、イタリア版“女はつらいよ”というところか。今までイタリア喜劇と言えば、母親や女房に頭の上がらない気弱な男や、教会や社会の縛りを達観したような能天気な男が主人公というケースが多かった。奮闘努力の結果、やっと掴んだチャンスを活かそうとする建築家セレーナの快進撃を、ローマを舞台にユーモアたっぷりに描いて実に痛快。さらに、登場する女性の姿を通して現代社会の問題を見据えた社会的要素の強い“あっぱれ”な映画なのだ。
本作は、イタリアでも大ヒットし、昨年の《イタリア映画祭2015》では『生きていてすみません!』というタイトルで上映され大好評だった。監督は、ある偶然でリストラされた田舎のおじさんが大統領になってしまうという喜劇『ようこそ、大統領』を撮ったリッカルド・ミラーニ。小市民の率直な言葉が人々の信頼を得て行く痛快さは本作でも健在。主演のパオラ・コルッテレージはミラーニ監督の妻で、日頃から周囲で起こる問題についてよく意見を交わしているという。本作では共同で原案・脚本を担当。パオラの力まないキュートさは『ブリジット・ジョーンズの日記』を彷彿させ、超セクシーなイケメンの登場に「ワォ~!」と大いに期待させるが、その後の意外な展開はロマンチックコメディ路線へ。大いに笑って、共感して、感動して、頑張っている人もそうでない人も、パワーをもらえること間違いない。明日への活力に、女子どうしで観に行くと楽しいかも。
【STORY】
セレーナ・ブルーノ(パオラ・コルッテレージ)は世界各地で活躍する優秀な建築家で、数か国語が堪能。ロンドンで活躍していたある日、一人でまずそうなパスタを食べながら、突然「イタリアへ帰りたい!」と里心がつく。「よりによってイタリア?」と周囲の驚きをよそに帰国。だが、そんな有能なセレーナもイタリアではまるで通じない。貯金も底をつき、いくつかのバイトをハシゴして屋根裏部屋に住んでいた。新しいバイト先のレストランの面接へ行ったセレーナは、そこで超セクシーなオーナーのフランチェスコ(ラウル・ボヴァ)に遭遇する。(その劇的な登場ぶりには参った!参った!)なりふり構わずバイクを走らせて来たセレーナはヘルメットを脱ぐのも忘れて呆然自失! 田舎の母親と伯母から「恋人はまだ?」とうるさく言われてうんざり気味のセレーナも、カウンターショックの一撃でノックダウン!!!
外国人の客にも流暢な外国語で応対するセレーナの接客ぶりに感心したフランチェスコは、セレーナに興味を持ち何かと優しくする。バツイチで息子が一人いるけど理想的な彼。すっかり恋に落ちたセレーナだったが、デートに誘われて行ったクラブは“フルモンティ”状態!? な、なんとフランチェスコはゲイだったのだ~!…あえなく失恋。だが、フランチェスコはセレーナに「親友としてそばに居てほしい」とまあ勝手な申し出をする。真っ直ぐに立てないような屋根裏部屋での生活も限界に来ていたセレーナは、誰よりも二人が気が合うのは確かなことから、フランチェスコのアパートで同居することに。
その頃、古い公営団地のリフォーム設計コンペでセレーナの案が採用される。ただし、セレーナ自身ではなく、セレーナが秘書を務める設計事務所の“ブルーノ氏”が採用されたのだ。男性でなければ採用されないと悟ったセレーナがとった狗肉の策に、フランチェスコも渋々協力することに…果たして“ブルーノ氏”身替り作戦は成功するのか?セレーナが住民のために発案したリフォームプロジェクトは進行するのだろうか?
本作は、ローマ郊外に実在する古い公営団地コルヴィアーレのリフォームプロジェクトに採用された女性建築家のグエンダリーナ・サリメイさんの「緑の空間」にヒントを得て作られたという。CGで古い団地がみるみる綺麗になっていく過程をみていると、住民の立場で考えた女性ならではのきめ細やかな配慮がされたプランであることに気付く。フランチェスコや息子との関係性や、無能な社長がいる設計会社での人間模様など、さらには時々登場してはヒッチャカメッチャカにする母親と伯母さんといい、イタリアらしい強烈なキャラクターに観ている方も振り回されるが、それが何とも心地いいのだ。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://korewata.com/
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