原題 | The Finest Hours |
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制作年・国 | 2016年 アメリカ |
上映時間 | 1時間58分 |
原作 | マイケル・J・トーギアス、&ケイシー・シャーマン「The Finest Hours」 |
監督 | クレイグ・ギレスビー |
出演 | クリス・パイン、ケイシー・アフレック、エリック・バナ、ベン・フォスター、ホリデー・グレンジャー、ジョン・オーティス |
公開日、上映劇場 | 2016年2月27日(土)~大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ系、MOVIX系 ほか全国ロードショー |
~アメリカ版“海猿”の実話、無謀すぎる決死の救出劇!~
1952年2月に実際に起こったアメリカ沿岸警備隊史上最も無謀な救出劇の映画化。冬の大嵐(ブリザード)の中、巨大タンカーの遭難事故が発生。風速40mを超える猛吹雪の夜、高さ20mを超える高波をものともせず、4人の救助隊員は12人乗りの木造ボートで救助に向かう。高性能の救助艇が開発された現代でもそんな状況下で出動はしないだろう。それを命懸けで救出に向かったアメリカ版“海猿”の活躍ぶりを、大迫力の3D映像で身も心も凍るようなブリザードにもまれながらドラマチックに再現。思わず体をこわばらせて魅入ってしまった。
これが実話だとは信じがたい程の危険な救助活動だが、主人公の沿岸警備隊員のバーニー・ウェバーが2008年に亡くなり、2年後ノンフィクション小説として書かれた「The Finest Hours」が発行され、たちまち全米で話題となり映画化が決定。バーニーの友人で当日風邪で出動できなかったメル・“ガス”・ガスローと、彼の代わりに出動した機関士のアンディ・フィッツジェラルドは現在でも健在で、映画製作当初から当時の事実に即した撮影に協力している。英雄として語り継いでいるのではなく、「彼らは務めを果たしただけ」と極めて冷静に語っている。そのプロ意識の高さこそ、勇気ある行動の原動力なのかもしれない。
【STORY】
アメリカ東部マサチューセッツ州ケープコッドの沿岸警備隊員のバーニー・ウェバー(クリス・パイン)は、友人のメル・“ガス”・ガスロー(ボー・ナップ)に促されて、長い間電話だけで付き合ってきた女の子ミリアム(ホリデー・グレンジャー)に初めて会おうとしている。とてもこの勇気ある歴史上の人物とは思えないウブさである。2月18日未明、最大規模のブリザードが襲来。ケープコッド沖では何隻かの船舶の遭難が相次ぎ、大型救助船は沖の方の船影へ向かっていたため、バーニーたちは12人乗りの木造船で出動するしかなかった。誰もがその危険過ぎる出動命令に疑問を抱いたが、近海の危険性についてあまり知らないクラフ司令官は、風速40mを超える風雪と砂州辺りの20mを超える高波が発生している中、無情にも出動命令を下す。
1か月前に亀裂部分を修理したばかりの大型タンカー・ペンドルトン号は、慎重な航行を進言する機関長(ケイシー・アフレック)の言葉を無視してスピードアップを命じた船長のせいで真っ二つに割れてしう。船長と通信機材を乗せた船首部分は大波に飲み込まれ、他の乗組員は航行不可能となった船尾部分に残されてしまう。船に取り付けられている救助艇での脱出を謀るが、大波が押し寄せる中それすら不可能だった。無線も使えず、座礁させて汽笛で救難を知らせるしかないと判断した機関長の英断で、ペンドルトン号の遭難を陸上の人々に知らせることができた。だが、決死の救出劇はそこから始まったのだ。
冬の大嵐の夜、出港するだけでも危険過ぎる行為なのに、さらに沈没寸前の大型タンカーに近付き32人の生存者を12人乗りの木造船に乗せて、港まで無事に連れて帰るという、港の灯を見るまでは冷え冷えする恐怖体験だった。だが、「どんな状況でも諦めずベストを尽くす」彼らの生き抜く熱き想いがじわじわと伝わってきた。砂州での数十メートルを超える高波のシーンでは、高波を超えるというより波の中に突っ込んでいく潜水艦のように見えた。実話だけにその恐怖と感動は半端ではない。
(河田 真喜子)
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