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『Maiko ふたたびの白鳥』

 
       

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作品データ
原題 Maiko: Dancing Child 
制作年・国 2015年 ノルウェー 
上映時間 1時間10分
監督 監督・脚本:オセ・スベンハイム・ドリブネス
出演 :西野・エケブルグ・麻衣子,西野衣津栄,イングリッド・ロレンツェン,ニコライ・ニシノ・エケベルグ,アイリフ・アツオ・ニソノ・エケベエルグ
公開日、上映劇場 2016年2月20日(土)~ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、2月27日(土)~シネ・リーブル梅田、布施ラインシネマ、3月5日(土)~シネ・リーブル神戸、近日~京都シネマ ほか全国順次公開

 

~出産して再び“白鳥”を舞う不屈の精神~

 

ノルウェー国立バレエ団と言えば「バレエボーイズ」(2014年,ノルウェー)が記憶に新しい。本作は,2005年に25歳で東洋人初のプリンシパルとなった西野麻衣子のドキュメンタリーだ。ノルウェーで最も有名な日本人だそうで,NHKの「国際報道2016」と「おはよう日本」でも紹介された。マイヤ・プリセツカヤの闘う白鳥,ウリヤーナ・ロパートキナの孤高の白鳥に因んだかどうかはともかく,ふたたびの白鳥として焦点が当てられた。
 

maiko-500-3.jpg実は大阪市生まれで,日テレ系「世界の日本人妻は見た!」では”母と二人三脚 浪花バレエ物語”と紹介されている。母の「絶対途中で投げたらアカンで」という言葉に支えられ,15歳からロイヤル・バレエ・スクールに学び,19歳でノルウェー国立バレエ団のオーディションに合格した。2013年10月に出産し,「絶対にプリンシパルの座を降りない」という決意の下,2014年5月28日に初日を迎える「白鳥の湖」での舞台復帰に向けて奮闘する。
 

maiko-500-1.jpg自分の道を極めようとする女性にとって,妊娠が分かったとき,将来の出産・育児との両立には大きな不安が伴う。キャリアウーマンだった母のDNAに励まされ,出産に向かって突き進む。ヒューストン・バレエ団から来たソリストが「火の鳥」を踊り,その舞台を見る麻衣子の表情をカメラが捉える。不安や羨望,焦燥など,何とも言えない複雑な彼女の胸中を映し出して,印象に残るショットだ。そして生まれるのが息子アイリフである。
 

maiko-500-4.jpgオペラハウスの音響・照明監督で夫のニコライが育児休暇を取得し,麻衣子がオデット/オディールとして再び舞台に立つ目標を定める。出産後すぐストレッチを始めるが,芸術監督から万一のときは代役を立てると言われ,最終リハーサルでは32回転フェッテが成功しない。ロットバルトに操られるように舞台から退いていく第2幕のシーンなど,カメラが的確に舞台を切り取る。そして,いよいよ舞台も映画もクライマックスへと突入する。

(河田 充規)

公式サイト⇒ http://www.maiko-movie.com/

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