原題 | 狼图腾/英題:Wolf Totem |
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制作年・国 | 2015年 中国・フランス |
上映時間 | 2時間01分 |
原作 | 原作:ジャン・ロン『神なるオオカミ 上・下』(講談社) |
監督 | 製作・監督・脚本:ジャン=ジャック・アノー(『薔薇の名前』『子熊物語』『愛人/ラマン』『スターリングラード』) |
出演 | ウィリアム・フォン『項羽と劉邦/White Vengeance』TV「蘭陵王」、ショーン・ドウ『サンザシの樹の下で』『危険な関係』、バーサンジャブ『レッドクリフ PartI』『レッドクリフ Part II -未来への最終決戦-』、アンヒニヤミ・ラグチャア『チンギス・ハーン』 |
公開日、上映劇場 | 出演:2016年2月7日(日)~シネ・リーブル梅田ほかにてロードショー! 《未体験ゾーンの映画たち2016》2/7(日)14:05~、2/10(水)18:35~、2/11(木)16:20~、2/12(金)11:50~ |
~オオカミと人間の関係が崩れるとき、自然の崩壊が始まる~
『薔薇の名前』『子熊物語』『愛人/ラマン』『スターリングラード』など雄大な映像美で人間を描写するフランスの巨匠、ジャン=ジャック・アノー監督の最新作『神なるオオカミ』が、《未体験ゾーンの映画たち2016》で上映される。中国の内モンゴル自治区の奥地にある大草原を舞台に、都会からやってきた青年の目を通して、失われつつあるモンゴル人の伝統文化や大自然の様子が壮大なスケールで感動的に描かれている。一般ロードショーされないのが惜しいくらい。見逃さないようこの機会に是非観て頂きたい。
【STORY】
1967年、文化大革命の最中、下放政策により地方の子供たちに勉強を教えるため多くの北京の学生たちが僻地へ派遣された。「知識青年」のひとりチェン・ジェン(ウィリアム・フォン)も友人と共に内モンゴルにあるモンゴル人の小さな集落へとやって来た。狼の皮を掲げた長老のパオで暮らしながら様々なことを学んでいく。大草原のど真ん中で馬や羊とともに伝統を大切に守りながら暮らす人々。そこでは、大自然への畏怖の念を大事にし、大草原を支配する狼を神のように敬いながら共存していた。しかし、時代は急速な近代化を推進する中国共産党政権の下、大切に守ってきた伝統文化や自然の動植物や環境さえ容赦なく破壊されようとしていた。
ある日、チェン・ジェンは谷合で迷っているところを狼に襲われる。思わず草原の神に助けを求めたところ、不思議なことに狼たちが引いて行くではないか。祈りが通じたのか、それとも狼は大草原の神の使いなのか――それ以来、神秘的な狼に興味を持つようになり、狼狩りの時に殺されかけた1匹の狼の子供を助けて、密かに育てることにする。自然の摂理に反することは神に背くことだと常々言われていた長老に内緒で育てていたが、それがある事件によって明るみになる……。
本作は、原作者のジャン・ロン氏自身の経験に基づいた実話である。多民族国家の中国では、共産党支配による中央からの指令が絶大で、各民族の伝統や文化がないがしろにされてきた。その結果、緑地は失われ、川や湖は汚染され、PM2.5が発生するような空気汚染が始まり、現在日本や韓国など周辺国へ悪影響を及ぼしている。そうした原因となった自然破壊の過程を垣間見るようで、そら恐ろしい気になる。
主演を演じたウィリアム・フォンは、《大阪アジアン映画祭2015》で上映された『いつか、また》にも出演した人気俳優。オープニングの北京を出発する数百台のバスが地方へ向かう様子や、狼が群れで狩りをするシーンやブリザードのシーンなど、『シーズンズ 2万年の地球旅行』にも劣らない美しい大迫力の映像で驚異の世界を見せてくれる。ジャン=ジャック・アノー監督作品は劇場のスクリーンで堪能したいものです。
(河田 真喜子)
2016年2月7日(日)~シネ・リーブル梅田ほかにてロードショー!《未体験ゾーンの映画たち2016》
2/7(日)14:05~、2/10(水)18:35~、2/11(木)16:20~、2/12(金)11:50~