原題 | DEAREST |
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制作年・国 | 2015年 フランス |
上映時間 | 1時間37分 |
監督 | ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾ |
出演 | (ナレーション)笑福亭鶴瓶、木村文乃 |
公開日、上映劇場 | 2016年1月15日(金)~TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、OSシネマズミント神戸、MOVIX京都他全国ロードショー |
~2万年に渡る動物と人間の関係をひもとき、未来へ繋ぐネイチャードキュメンタリー~
『WATARIDORI』、『オーシャンズ』のジャック・ペラン監督とジャック・クルーゾ監督によるネイチャードキュメンタリー最新作は、氷河期から2万年に渡る地球の変遷を捉えた時空を超える作品だ。空を飛んだり、餌を捉えようと走り回り、時には追ってから逃れるため必死に逃げる映像は、とてもダイナミックで弱肉強食の動物たちの世界を体感している気分になる。また、動物たちの求愛や貴重な出産シーン、子育ての様子など、氷河期を経て地球が緑の森に覆われ、自然豊かな美しい時代に伸び伸びと生きる動物たちの姿に目を奪われるのだ。
そんな動物たちが暮らす世界に人間が誕生すると、少しずつ自然に手を加えはじめ、そこで生きていた動物たちも少しずつ人間の家畜となるものが現れてくる。木が切り倒され、田畑ができ、家畜をふやし、最初は住居だけだったものが、だんだん大きな建物が増えてくる。緑豊かな地球を変えた人間は、動物たちの生活も大きく変貌させた。でも絶望に終わるのではなく、人間と動物が共生する未来があると信じて現在の四季を映し出している。
『WATARIDORI』のときも感動的だった鳥が隊列をなして、大空を飛び交うシーンが随所に挿入されているのも、フランスネイチャードキュメンタリー界大御所の二人らしさが滲む。日本版は笑福亭鶴瓶と木村文乃によるナレーションが入り、動物に関する情報や様々な時代の変遷の経緯を説明してくれるので、親子での鑑賞にもぴったりだ。だが、迫力ある動物たちの決定的瞬間を捉えた映像の数々とその美しさは、むしろアートの域である。できれば、ナレーション一切なしで、森に放り込まれたような気分でもう一度鑑賞してみたいと思わせる、生き物のありのままの姿を丁寧に捉えた、時空を超える感動的な地球旅行だった。
(江口由美)
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