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『愛しき人生のつくりかた』

 
       

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作品データ
原題 Les Souvenirs 
制作年・国 2015年 フランス 
上映時間 1時間33分
原作 原作・共同脚本:ダヴィド・フェンキノス(『ナタリー』)
監督 監督・脚本:ジャン=ポール・ルーヴ
出演 アニー・コルディ、ミシェル・ブラン、シャンタル・ロビー、マチュー・スピノジ
公開日、上映劇場 2016年1月30日(土)~テアトル梅田、2月6日(土)~シネ・リーブル神戸、2月20日(土)~京都シネマ ほか全国順次公開

 

~懸命に生きる家族の姿を、ユーモアとエスプリと愛情たっぷりに描く~

 

夫に先立たれ、一人暮らしを始めたマドレーヌは、ケガで病院に運ばれたのがきっかけで、息子たちに心配され、老人ホームに入る。束縛が嫌いで、自立心旺盛なマドレーヌに、ホームでの生活は合わない。ある日、突然、マドレーヌは、何の連絡もなく、家族の前から姿を消してしまう。マドレーヌの思い出話をたくさん聞いてきた孫のロマンには、祖母の行先に心当たりがあった…。


itoshiki-500-1.jpgパリに暮らす祖母、息子夫婦、孫の三世代の家族の物語。息子のミシェルは退職したばかりで、妻のナタリともぎくしゃくしている。大学生のロマンは、恋人もなく、将来の夢を模索している。それぞれが自分の居場所を探し、家族の絆を確かめながら、小さな幸せを見つけていく様子が、生き生きとユーモアを交えて描かれ、心あたたまる。祖母だけでなく、父のミシェルや母ナタリからも悩みを打ち明けられ、話し相手になるロマンの優しさがいい。ロマンとともに旅先で訪れた場所で見せた、マドレーヌの笑顔が映画を最高に輝かせる。


itoshiki-500-2.jpg映画は、マドレーヌの夫が墓地で埋葬されるシーンから始まる。ロマンが墓地を間違え、急いで走ってくる姿が、埋葬のシーンとカットバックで描かれる。映画の最後で、墓地のシーンが再び繰り返され、脚本の巧さが光る。パリとノルマンディで、父と息子がそれぞれバーでビールを飲む姿が交互に映されるシーンも楽しい。ガソリンスタンドの売店や、ノルマンディの観光案内所でのさりげない会話にユーモアが散りばめられ、心に残る。ロマンのルームメイトが、パリの街のあちこちで、ナンパをする姿がユーモラスに描かれ、微笑ましい。


itoshiki-500-3.jpgフランソワ・トリュフォー監督の『夜霧の恋人たち』の主題歌として使われたシャルル・トレネの名曲「残されし恋には」が、アレンジを変えて、本作でも主題歌に用いられていたり、『夜霧~』でジャン=ピエール・レオ演じるアントワーヌが働いていたホテルと同じ名前のホテルが同じ場所で設定されていたり、トリュフォー監督へのオマージュも、映画ファンには嬉しい。

(伊藤 久美子)

公式サイト⇒ http://itoshikijinsei.com/

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