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『ロパートキナ 孤高の白鳥』

 
       

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作品データ
原題 Ulyana Lopatkina: A Russian Star 
制作年・国 2014年 フランス 
上映時間 1時間33分
監督 マレーネ・イヨネスコ
出演 ウリヤーナ・ロパートキナ,アニエス・ルテスチュ,ジャン=ギョーム・バール
公開日、上映劇場 2016年1月30日(土)~、2月13日(土)~シネ・リーブル梅田、3月12日(土)~シネ・リーブル神戸、4月~京都シネマ  ほか全国順次公開 ★アンコール上映決定!! 3月19日(土)~4月1日(金)Bunkamuaraル・シネマにて (連日12:40/19:10) ※4/2(土)以降の上映時間は劇場へお問合せください。http://www.bunkamura.co.jp/topics/cinema/

 

~究極の美しさは気高い魂から生まれ出る~

 

監督は,2013年作品「至高のエトワール~パリ・オペラ座に生きて~」のアニエス・ルテスチュに続き,今度はロシアのマリインスキー・バレエのプリンシパル・ダンサーを映像に収めた。ウリヤーナ・ロパートキナは,1973年10月23日クリミアのケルチで生まれ,母親にバレエを習わされたという。自分がバレリーナになるとは驚きだ,という彼女の言葉に驚かされる。何しろバレエの美しさを体現するため存在するとしか思えないのだから。


lopatkina-500-3-1.jpgニック・リード監督の「ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏」はバレエ団に焦点を当てたが,本作はダンサー個人に焦点を当てており,舞台やリハーサルのシーンも豊富だ。「瀕死の白鳥」はフルで収録されており,「レ・シルフィード」の浮遊する美しさに息を呑む。ルテスチュは,ロパートキナがバラの花の化身となった「病めるバラ」に心を揺さぶられたと言う。ビージーズの音楽に乗った「ステイン・アライヴ」も必見だ。


lopatkina-500-1.jpgジャン=ギョーム・バールは,「ダイヤモンド」で相手役を務め,自分にとって最高のバレエ体験だったと語る。ピエール・ラコットは,信じられないほど純粋で誠実で深みのある繊細な女性で,世界最高のバレエダンサーの一人だと絶賛する。今や頂点に立つロパートキナがワガノワ・バレエ・アカデミーで学んだ思い出をたどる。1歩前進したと思うと更に難しい課題に取り組む,厳しいバレエ人生の始まりだが,面白いエピソードもある。


lopatkina-500-2-1.jpglopatkina-500-4.jpgロパートキナが語る「愛の伝説」のメフメヌ・バヌーや「オネーギン」のタチヤーナに関する話は聞き逃せない。愛を諦めた先にある気高さや自分の運命を受け入れる精神の強さは,ロパートキナ自身と重なる。1995年にプリンシパルとなり,2002年に長女マーシャを出産した後もトップであり続ける。あるレベルに達しても満足せず,成功や自分への賛辞は忘れて常に学び続けるのが,彼女のポリシーだ。正にこれこそ孤高の美しさの原点だ。

(河田 充規)

公式サイト⇒ http://lopatkina-movie.jp/

★アンコール上映決定!!
3月19日(土)~4月1日(金)Bunkamuaraル・シネマにて
(連日12:40/19:10)
※4/2(土)以降の上映時間は劇場へお問合せください。
http://www.bunkamura.co.jp/topics/cinema/
 

 

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