制作年・国 | 2015年 日本 |
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上映時間 | 1時間59分 |
原作 | 加藤シゲアキ『ピンクとグレー』角川文庫刊 |
監督 | 行定勲 |
出演 | 中島裕翔(Hey! Say! JUMP)、菅田将暉、夏帆、小林涼子、岸井ゆきの、宮崎美子、柳楽優弥他 |
公開日、上映劇場 | 2016年1月9日(土)~TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ二条ほか全国ロードショー |
~一粒で二度オイシイ!?芸能界の闇に迫るミステリー×エンターテイメント~
ジャニーズアイドルグループ、NEWSの加藤シゲアキがアイドルを主人公に芸能界の嘘とリアルを描いた小説『ピンクとグレー』。実写化にあたり、後輩のHey! Say! JUMP、中島裕翔が初主演で抜擢されたこともニュース性があるが、この作品がさらに面白いのは宣伝をする時点で「幕開けから62分後の衝撃!!」と謳っているところにある。観る前から仕掛けがあることを明かすとは、よほど自信があるのだろうと少し構えながら眺めていたが、あっという間に惹きこまれ、突然その衝撃の世界に放り出されるのだ。三浦春馬を主演に迎えた日中合作『真夜中の五分前』では中国や台湾の人気俳優を起用し、一ひねりあるラブストーリーに仕立てあげた行定勲監督。本作でも、映画ならではの手法と、役者の化学反応で、単なるミステリーに留まらない“攻めた”作品となっている。
人気俳優、白木蓮吾(中島裕翔)が首吊り自殺した現場をかつての親友、河田大貴(菅田将暉)が発見したところから始まる物語は、人気絶頂でこの世を去った蓮吾の謎を追求するかのごとく、蓮吾と大貴の出会いから、共に過ごし、サリー(夏帆)に恋心を抱いた青春時代、バンドを結成し共にプロを目指した頃、そして蓮吾が抜擢され、大貴とサリーの元から離れていった頃・・・。いつまでも仲良し三人組ではいられない現実や、チャンスを生かせない大貴の焦りなどを盛り込みながら、成功を収めたものの孤独を深めていく蓮吾の危うさを匂わせる。ある意味ピンクの世界は、絵にかいたような、もしくはどこにでもあるような光の当たる者と当たらない者に別れてしまった二人の物語と映るだろう。
真実が明かされるグレーの世界は、役者たちの演技もさらに冴えわたる。中島裕翔、W主演の菅田将暉や、夏帆の化学反応から、芸能界のホンネや第一線で走り続けることの難しさが鮮明に浮かび上がる。また、柳楽優弥の存在感も見逃せない。私たちは大貴と共に蓮吾の死の真相を探るうち、何が現実なのかも分からなくなる。ミステリーなのにイリュージョンのようなエンターテイメントを味わえるなんて、一粒で二度オイシイ。そして、こういう作品はもう一度観たくなるのだ。
(江口由美)
公式サイト⇒ http://pinktogray.com/
(C) 2016「ピンクとグレー」製作委員会