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『ひつじ村の兄弟』

 
       

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作品データ
原題 RAMS 
制作年・国 2015年 アイスランド 
上映時間 1時間33分
監督 監督・脚本:グリームル・ハゥコーナルソン 撮影:ストゥルトラ・ブラントゥ・グルヴレン
出演 シグルヅル・シグルヨンソン、テオドル・ユーリゥソン、シャルロッテ・ボーヴィング、ヨーン・ベノニソン
公開日、上映劇場 2015年12月19日(土)~新宿武蔵野館、12月26日(土)~テアトル梅田、近日~京都シネマ、元町映画館 ほか全国順次公開
受賞歴 第68回(2015年)カンヌ国際映画祭「ある視点部門」グランプリ受賞

 

仲の悪い羊飼いのおじいさんたちが見せた、
あっと驚く神隠し作戦!?

 

人口の4倍もの羊がいるアイスランドを舞台にした羊飼いの兄弟の物語というから、さぞかし牧歌的な優しい映画かと思いきや、自然の驚異に呑み込まれる衝撃的なエンディングを迎える、とんだシリアスな物語だった。北欧アイスランドは、男女平等度、平和度、長寿度で世界一を誇り、火山大国でもあることから温泉や氷河やオーロラなど観光資源も豊富だ。さらに、馬と人間の濃い関係を描いた映画『馬々と人間たち』(2013)からも分かるように、厳しい自然の中でアイスランド固有種の馬や羊を大切に守り育てている土地柄でもある。そこに暮らす愚直なほど誇り高き人々の営みを、時には愚かしく可笑しみをもって描くスタイルはアイスランド映画特有のもので、一度見たら忘れられない作品が多い。本作も、二人の仲の悪い兄弟が最後に見せたあっと驚く作戦に、家族の強い絆を感じることだろう。
 


【STORY】
アイスランドの小さな村で羊飼いをしている年老いた兄弟は、遺産相続問題で仲違いしてから40年来口をきいてないという。同じ敷地内に別々の家と厩舎を建て、二人とも先祖から引き継いだアイスランド固有の血統種の羊を飼っていた。弟のグミー(シグルヅル・シグルヨンソン)は、几帳面で人付き合いも良いのだが60歳過ぎても独身のまま。兄のキディー(テオドル・ユーリゥソン)は、感情的で人付き合いも悪く、2度も女性に逃げられていた。二人の間を行き来するのは兄が飼っている犬だけ。そんな二人だが、羊の品評会ではいつも1位2位を独占するほどの凄腕の羊飼いなのだ。


rams-500-1.jpg先祖から引き継いだ優良な羊を育てるのが生甲斐の二人だったが、弟のグミーが、品評会で1位を獲った兄のキディーの羊から伝染病を見つけてしまう。全ての羊が殺処分されることになり、怒った兄は弟の家に銃弾を撃ち込む。だが、その地域すべての羊を殺処分しなければならなくなり、牧羊を廃業して離農する者も現れる。それは弟にとっても死活問題で、保健所の手前大半の羊を銃殺するが、お気に入りのオスの羊1頭とメスを数頭、地下に隠してしまう。それは真面目なグミーにとって、命懸けで守り抜かなければならない大きな秘密となった……。
 



はじめに、弟が柵を隔てた兄の牧草地で病死している羊を発見するシーンから始まる。無言で合図したり、犬を介して用事を伝えたりしているが、何だが不穏な雰囲気を感じさせる。自炊するグミーの家の様子からは几帳面さが窺え、後に映る兄キディーの家は煩雑だが、父親と幼い頃の兄弟の写真が飾ってあり、仲違いしていても兄弟であることを懐かしむような雰囲気を感じさせる。そう、キディーは悪態ついても本当は仲良く暮らしたいのだ。淡々とした描写のようだが、二人の関係性や感情が的確に伝わってくる。そして、大きな秘密を共有した兄弟がとった行動こそ、酷寒の地に広がる地熱のような温もりを、見る者にもたらしてくれるのだ。


rams-500-2.jpg40年間も口をきいてない二人でも、やはり兄弟だなと思うことがいくつかあった。二人とも古典柄フェアアイルのセーターを着て同じような容貌で、羊たちと会話しながら暮らしている。グミーは、雪の中で酔っぱらって寝ているキディーを放っておけず、自宅のお風呂に入れて介抱したり、ある時にはショベルカーで病院へ運んだりする。いざという時に一致団結して大胆な行動に出られたのも、家族ならではのこと。アイスランドという特殊な土地に生きる羊と兄弟を見守る大きな存在を感じてしまう、そんな映画だ。

(河田 真喜子)

 公式サイト⇒ http://ramram.espace-sarou.com/

(C)2015 Netop Films, Hark Kvikmyndagerd, Profile Pictures

 

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