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『ビューティー・インサイド』

 
       

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作品データ
原題 THE BEAUTY INSIDE
制作年・国 2015年 韓国
上映時間 2時間7分
監督 ぺク
出演 ハン・ヒョンジュ、キム・デミョン、パク・ソジュン、キム・サンホ、チョン・ウヒ、上野樹里、イ・ドンフィ、ムン・スク他
公開日、上映劇場 2016年1月22日(金)~TOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸他全国順次公開
 
 

~毎日姿が変わっても心は変わらない彼と、同じ姿で心は揺れていた彼女の究極ラブストーリー~

 
こんなファンタジーは見たことがない。なにせ、ひとりの主人公を123人で演じているのだから!目覚めると全く別の人間になっているという設定のユニークさが、実は究極のラブストーリーをコミカルに見せる。とはいえ、必要以上にコミカルではなく、実にナチュラルで、陽光に包まれたような温かい映像が心地よいのだ。非常に洗練されたトーンで「愛は見た目が大事?内面が大事?」という究極の命題に挑んだのは、本作が初長編作となるぺク監督。韓国のCM界で活躍しているぺク監督がインテルと東芝合作のソーシャル・フィルムを原案に、老若男女、国籍不問のキャストを使って作り上げたラブストーリーは、韓国映画の新しい台風の目となる予感がする。
 
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18歳の時から、目覚めると外見が変わってしまうようになったウジン。性別、年齢、国籍も全く違う姿に変わる毎日を、自分なりに順応しながらも、その秘密は母(ムン・スク)、親友サンペク(イ・ドンフィ)しか知らなかった。独自の家具ブランドを立ち上げていたウジンは、アンティーク家具専門店へ取っ手を購入しに出かけ、店員のイス(ハン・ヒョンジュ)に一目ぼれする。毎日客のふりをして、イスと会話をすることが楽しみになっていたウジンは、イケメンな姿になった日にイスの元を訪れ、デートにこぎつけるのだったが・・・
 
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イケメンの時に告白するというのも男心ならば、徹夜してイスとの絆を深めたのに、つい寝てしまい、目覚めたときにはハゲオヤジ姿で、逢いに行けなくなるのもなんとも切ない男心だ。そんなウジンの日替わり姿の中で、存在感を放つのが上野樹里。もちろん心は男だが、ウジンの毎日姿が変わるという告白を確かめるために訪れたイスとベッドで横になりながら話をする姿にドキリとさせられる。また、蒼井そらが好きだという親友で家具ブランドの経営者でもあるサンペクの軽さや、往年の人気女優、ムン・スク演じる母親の息子を思いやる心など、ウジンの目まぐるしい変身を受ける二人の演技も見どころだ。
 
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そして何よりも日々見た目が変わる人を愛してしまったイスを演じるハン・ヒョンジュの喜び、戸惑い、苦しみの表情が実に沁みる。毎日変わる外見を楽しむ一方、周りからあらぬ噂を立てられ、悩みを打ち明けられずストレスを抱えていくイス。確かに愛する人を、翌日は自分から見つけることができないのは辛い。顔を覚えることができないことも。でも一番辛いのは「あなたがいないこと」。二人が好きなホセ・ラミレスの『アマポーラ』がやさしく響く物語。他の人には響かなくても自分にはぴたりと合う恋人は、劇中で登場するウジン自ら作ったイス専用の椅子に似ている。自分だけの尺度を持ち、それを信じての決断が、海を越えたラストをドラマチックに彩った。
(江口由美)
 
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