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『ハッピーエンドの選び方』

 
       

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作品データ
原題 THE FAREWELL PARTY 
制作年・国 2014年 イスラエル 
上映時間 1時間33分
監督 脚本・監督:シャロン・マイモン、タル・グラニット
出演 ゼーブ・リバシュ、レバーナ・フィンケルシュタイン、アリサ・ローゼン、イラン・ダール、ラファエル・タボール
公開日、上映劇場 2015年11月28日(土)~シネスイッチ銀座、テアトル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸、塚口サンサン劇場 ほか全国順次ロードショー!

 

~最期くらいは自分の意志でハッピーエンドを~

 

神様もびっくり!?イスラエルから届いた『ハッピーエンドの選び方』は、人生をハッピーエンドに終えるためのノウハウがいっぱい詰まっている。近年「終活」や終末医療についての映画が増えてきたが、尊厳ある最期は誰しもが願うこと。その方法には宗教やお国柄が出るようで、老人ホームで暮らす発明好きな主人公の好意が思わぬ方向へと進んで大騒ぎになってしまう。「人生の最期くらいは自由意志で選択したい」という切実な思いに応える主人公の発明品は、いつかは迎える「最期」を幸福感で満たしてくれると同時に、それまでの人生に安堵感と希望をもたらしてくれる。
 


【STORY】
イスラエルのエルサレムにある高級老人ホームで暮らすヨヘスケル(ゼーブ・リバシュ)は発明が趣味で、妻のレバーナ(レバーナ・フィンケルシュタイン)のために自動投薬箱を作ったり、“神様”のフリする機械で「死にたい」と嘆くおばあさんを励ましたりしていた。ある日、重篤な状態で苦しむ親友のマックスのために“マックス救出計画(プラン)”を立て、マックスの妻ヤナ(アリサ・ローゼン)や元獣医のドクター・ダニエルや元警官のラフィらと協力して、自らの意志でスイッチを入れると薬剤が点滴に投入され安楽死できる機械を作る。それによって、マックスは安らかな最期を迎えることができた。


HE-500-4.jpgところが、一回限りのつもりが、その噂を聞き付けた他の入所者が病気で苦しむ家族のために使用したいと次々と願い出て、内緒にしていたレバーナの知るところとなり、さらにラフィが金銭を授受していたことが判明し、当初の目的とは違う方向に進んでしまう。他人の生死を左右することは許されないこと。自分の発明品がもたらした問題を重く受け止めたヨヘスケルは機械を壊してしまう。そんな矢先、妻のレバーナに認知症状が表れる。


HE-500-2.jpg時々娘が孫娘を連れて訪ねてきてくれることを楽しみにしていたヨヘスケルとレバーナだったが、レバーナに認知症状が表れてからは夫婦や家族の絆の深さを感じさせる描写が続く。老人ホームでは認知症の人は預かれないと専門の施設を紹介され、夫婦で見学に行く。そこでは、入所者全員がまるで廃人のように車椅子に乗って同じ方向をじっと見つめていた。その様子にショックを受けたレバーナは絶望的になり、ヨヘスケルは愛するレバーナをそんな所には行かせられないと断固拒否する。


HE-500-1.jpg深い絆で結ばれた仲のいいヨヘスケルとレバーナは、いつまでも二人一緒に暮らせると思っていたに違いない。認知症が進行すると、夫や娘や孫のことも忘れ、自分が自分でなくなってしまうだろう。優しくて美しいレバーナ、最愛の妻のためにできることを思案した結果、ヨヘスケルが決断したことは……それまでの夫婦の美しい時間を大切に思う気持ちに罪はないと思う。誰しも、いつかは往く道であり、決して他人事ではない。

(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://happyend.asmik-ace.co.jp

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