原題 | Everest |
---|---|
制作年・国 | 2015年 アメリカ・イギリス合作 |
上映時間 | 2時間01分 |
監督 | バルタザール・コルマウクル |
出演 | ジェイソン・クラーク、ジョシュ・ブローリン、ジョン・ホークス、ロビン・ライト、エミリー・ワトソン、キーラ・ナイトレイ、ナオコ・モリ(森尚子)、マイケル・ケリー、サム・ワーシントン、ジェイク・ギレンホール |
公開日、上映劇場 | 2015年11月6日(金)~全国ロードショー |
~3D映像で迫るエベレスト遭難事故の真実と恐怖体験~
世界最高峰のエベレスト(8,848m)、20世紀初めから人類未踏の世界最高峰制覇をかけて国家的プロジェクトが組まれ各国がしのぎを削ってきたが、1953年にイギリス隊が成功。それ以来、登山家が憧れる究極の山として人気を集め、年々登頂成功者も増加している。本作は、1996年5月に発生した12名が亡くなるというエベレスト登山史上最悪の遭難事故をベースにした映画である。特にロブ・ホールを隊長とするニュージーランドの登頂チームとスコット・フィッシャーを隊長とするシアトルの登頂チームの遭難者に焦点を当て、行動記録や証言などを基にドラマ化されている。あの時何が起きたのか、誰がどんな行動をとったのか、どんな思いで悲劇に遭遇したのか。今だからこそ明らかにされるすべての真実を、3Dという臨場感たっぷりの大迫力映像で私たちは目撃することになる。
【STORY】
ニュージーランドで登山ガイドの会社を運営するロブ・ホール(ジェイソン・クラーク)は、1992年以来19人の登頂成功させたエベレストツアー登山のパイオニアだった。1996年も世界各国から集まった8人の顧客(AC隊)を連れてネパールへやって来たが、ベースキャンプも例年以上に混雑していた。1か月間の高度順応期間を終え、5月10日の登頂予定計画に従って出発したものの、ルート確保にも順番待ちの時間が発生し、またアイスフォールでの事故などで予定変更が相次いでいた。
前年度に登頂成功者を出していない焦りもあり、ロブはスコット・フィッシャー(ジェイク・ギレンホール)を隊長とするMM隊と協力して登頂をめざすことにする。固定ロープの不備や酸素ボンベ不足に加え体調不良者が出たり、さらに頂上付近の混雑でアタック時間が遅れたりと、午後2時には下山しなければならないのに、午後4時になっても登頂者に付き添っていたロブは、下山に必要な酸素と体力が失われることになる。その上、急速に発達した低気圧のため風速30m以上のブリザードに襲われる。
以前は有能な登山家だけの選抜チームで挑んでいたエベレスト登山も、近年は、登山希望者を世界中に公募して、多額の代金を支払えば大した技能や経験がなくても、女性や高齢者や身障者であっても挑めるツアー形式の登山が主流になってきている。ツアー隊に雇われた多くのシェルパが、重い機材の運搬やテント設営や食事の用意、ツアー客が楽に短時間で登れるよう先発してルートを確保したりする。シェルパの援助なしでは登頂は不可能なのだ。そのため、ベースキャンプをはじめ頂上までのルートは混雑し、ただでさえ危険な山であるにもかかわらず、途中でルートやスケジュールの変更を余儀なくされるという。
そうした背景もあり、1996年に起きた遭難事故は商業公募によるツアー登山に警鐘を鳴らしているのだが、昨年2014年4月、またしても16名のシェルパが犠牲になる大惨事が起きてしまった。ベースキャンプから第1キャンプまでのアイスフォールで大規模の雪崩が発生し、未明からルート確保作業にあたっていたシェルパたちが巻き込まれたのだ。この映画の撮影隊もベースキャンプで控えていたようだが、その後エベレスト登山は一時中断された。本作のロケはヒマラヤとイタリアンアルプスで撮影されている。その神聖なる頂上からの眺望に感嘆すると同時に、急速に発達した低気圧による凄まじいブリザードにさらされる登山者たちの行く末には身も凍るようだ。来年3月公開予定の日本映画『エベレスト神々の山嶺(いただき)』を見る前に、『エベレスト3D』でエベレストの本当の恐ろしさを体験してほしい。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://everestmovie.jp/
(C)Universal Pictures