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『マルガリータで乾杯を!』

 
       

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作品データ
原題 Margarita,With a Straw 
制作年・国 2014年 インド 
上映時間 1時間40分
監督 ショナリ・ボース
出演 カルキ・コーチリン、レーヴァティ、サヤーニー・グプター、ウィリアム・モーズリー、フセイン・ダラール、テンジン・ダラ、クルジート・シン、マルハール・クシュー他
公開日、上映劇場 2015年10月24日(土)~シネスイッチ銀座、10月31日(土)~シネ・リーブル梅田、11月28日(土)~京都シネマ、シネ・リーブル神戸、近日~全国順次公開

 

~インド映画の新潮流は、“こってり・濃厚”を排した爽やかさで日本人向き?~

 

近ごろ日本に上陸するインド映画が変わってきたなあというのはよく聞かれる声である。時代遅れかと思うような過剰な演出、延々フルコーラスも続く歌やダンス、座っているお尻の痛さが気になり始める4時間以上もの長尺…というのが、以前のインド映画のイメージだった。もちろん、まだまだその手の作品は作られているのだろうが、ハリウッドに対する“ボリウッド”なる名前を掲げてきたあたりから、ある意味、世界受けしようという狙いが姿を現してきたのではないか。そして、『マダム・イン・ニューヨーク』だとか『きっと、うまくいく』ほか、これまでとは違うヒット作も出てきたが、それらはどこか“ハリウッド的”だ。国境を超えて幅広い層にアピールするためには、そういうエッセンスが必要なのだろうなと思ったりする。


margarita-500-2.jpgで、この映画もまた、“こってり・濃厚”タイプとは一線を画している。気丈で愛情深い母親と、身体的なハンディを持ちつつも明るく向学心の旺盛な娘。そのふたりの結びつきを核に、インドから遠く離れたニューヨークの大学に進んだ娘をとりまくさまざまな人間模様と彼女の成長を描いている。見どころは多くあるが、三つをあげたい。


margarita-500-1.jpgまずは、娘ライラを演じたカルキ・コーチリンの自然体の演技の素晴らしさだ。昔、ラッセ・ハルストレム監督『ギルバート・グレイプ』という映画で、ジョニー・デップ演じる主人公の弟役で若き日のレオナルド・ディカプリオがみごとな演技を披露していたことを思い出した。二つ目は、自慰、ちょっとしたはずみから至ったセックスなど、青春期の性の衝動を赤裸々に描いていること。三つ目は、ニューヨークでライラが出会う親友でありルームメイトであり恋人にもなるハヌムという視覚障害を持つ女性との関係性だ。バイセクシュアルなふたりの関係がもつれ合っていく道すじが、切ない余韻となって心に刻まれる。ハヌムの民族性もまた、私たち日本人には新鮮だ。

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そうして、ライラのある決断とともに映画は終わるのだが、なんだろう、この爽やかさは?と思った。「人は大切な誰かをいつか失う。それでも、人は生きてゆく」。シーンの随所で印象を残すライラの満面の笑みがいつまでもそう語っているように思えたのだった。ちなみに、監督のショナリ・ボースは、脳性まひの障害を持つ従妹の姿にインスパイアされて、この映画を作ったという。

(宮田 彩未)

公式サイト⇒ http://www.margarita.ayapro.ne.jp/

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