制作年・国 | 2015年 日本 |
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上映時間 | 1時間52分 |
原作 | 幸田もも子『ヒロイン失格』(集英社マーガレットコミックス刊) |
監督 | ■監督:英 勉 ■脚本:吉田恵里香 ■音楽:横山 克 ■主題歌:西野カナ「トリセツ」(ソニー・ミュージック レーベルズ) |
出演 | 桐谷美玲 山﨑賢人 坂口健太郎 福田彩乃 我妻三輪子 高橋メアリージュン 中尾 彬(特別出演) / 柳沢慎吾(特別出演) / 六角精児(特別出演) 濱田マリ 竹内 力 |
公開日、上映劇場 | 2015年9月19日(土)~新宿バルト9、新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー |
ヒロイン像だけではない、女優のイメージを打ち壊す桐谷美玲の変顔に爆笑!
人気急上昇の若き俳優陣が魅了する爆笑ラブコメ決定版!
ご存じ、爆笑ラブコメコミック『ヒロイン失格』の無謀(?)な映画化作品は、いつもの高校生の純愛物語かと思いきや、他とは違う勢いを感じた。幼い頃からずっと好きだった男の子の彼女(ヒロイン)になれるのは絶対に私しかいない!と信じて疑わない女子高生に青天の霹靂が起こる。自らこの役に名乗りを挙げた桐谷美鈴の美人女優のイメージを顧みない変顔が、とにかく可笑しい!原作の大ファンだった彼女は、以前から変顔して遊んでいたという。監督がCGを使おうと思っていたこんなブサイク顔を他の女優が演じたら、嫌味や醜さが目立って不快になるだろうが、桐谷美玲だと潔い変顔が小気味いいのだ。
松崎はとり(桐谷美玲)は、小学生の頃から母親に去られた孤独な寺坂利太(山﨑賢人)のことを「守れるのは私だ!」とずっと大切に思ってきた。高校生になって、イケメンに成長した利太の「彼女(ヒロイン)になれるのは私だ!」と信じて切っていた。ところが、利太がよりによって六角精児似の地味~なガリ勉タイプの安達未帆(我妻三輪子)を彼女にしてしまう。「ぐぁ~ん!!! 」そのショックやいかに~! 利太奪還作戦を練るがことごとく失敗。そんなはとりに学校一のイケメン・弘光廣祐(坂口健太郎)が熱烈ラブコールを送る。自分が好きな利太か、自分を好きな弘光か。利太と安達の動向を気にしながらも揺れる女心。果たして、はとりの恋の顛末は?
てな具合にストーリーだけを追っていてはつまんない。 かなりおっちょこちょいで感情丸出しの分かりやす~い“ナルシストはとり”のキャラがいい。利太をとられても安達のことをいじめるような陰険なことはせず、無条件に利太のことを愛するその一途さがいい。そんなはとりの純真さを弘光が愛おしく思う辺りもいい。「いつでも僕が君のそばにいるよ」な~んて言われた日にゃ天にも昇る思いがするだろうが、はとりの視線の先にあるのは利太。切ないね~!
でも、はとりのような、可愛いだけじゃ愛は長続きしないし、一途な想いも「重い、うざい」と感じられるかもしれない。相手を尊重する気持ちと、ある一定の距離感を保つのも必要かも。そして、自分も成長していかなきゃ飽きられるだろう。「永遠の愛」とよく言われるが、愛は失われないまでも常に変化するもの。いろいろツッコミを入れたくなる要素はあるものの、いつの間にかはとりの奮闘を応援してしまうのは、本作の魅力にはまった証拠かも。
本作の見所は、ストーリーより若き俳優陣の魅力に尽きる。はとりがずっと愛し続ける利太に山﨑賢人。NHK朝の連ドラ『まれ』に出演し知名度も全国区となり、人気急上昇のイケメン。クールなツンデレぶりに母性本能をくすぐられる。利太に失恋したはとりに急接近する学校一のイケメン:弘光を演じたのは坂口健太郎。『娚の一生』『予告犯』『海街diary』『at Home』『俺物語!!』『残穢(ざんえ)』と出演作が目白押しの人気俳優。「周りが見えすぎてしまい、自然と距離をとってしまう」ところが弘光と似ているという。情感を捉えた演技が光っていた。
他にも、利太が彼女にする〈六角精二似の女の子〉安藤を演じた我妻(わがつま)三輪子が恐ろしいほどの存在感を示す。こうした俳優陣のコミックの世界から抜け出たようなルックスの良さと演技力は、呆れるような物語が気にならなくなるほど素晴らしい。
それにしても、日本の女子はどうしてこうツンデレ男に弱いんだろう。ツンデレ男がたま~に見せる優しさが堪らないのだろうか。絶対、いつも自分のことを見ていてくれる人と一緒になった方が幸せになれると思うのだが・・・。それじゃドラマが盛り上がらないかな? 恋は苦労して勝ち得てこそヒロインになれるのかもね。
(河田 真喜子)
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