原題 | The Best of Me |
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制作年・国 | 2014年 アメリカ |
上映時間 | 1時間58分 |
原作 | ニコラス・スパークス |
監督 | マイケル・ホフマン |
出演 | ミシェル・モナハン、ジェームズ・マースデン、ルーク・ブレイシー、リアナ・リベラト |
公開日、上映劇場 | 2015年9月5日(土)~ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、9月26日(土)~109シネマズHAT神戸 ほか全国順次公開 |
~心から愛した人はひとりだけ――星に導かれた運命とは?~
生涯でそう何人もの人を愛せるとは思えない。「君以上の女性は現れなかった」と、20年ぶりに再会したドーソンは独身の理由をそう語る。不幸な事件を契機に別々の人生を歩むことになった二人。結婚して家族もいるアマンダは、「心から愛した人はひとりだけ」と消し去ったはずの思い出を愛おしむ。と言っても、愛が再燃する陳腐なラブ・ストーリーではない。星が導く運命に生かされた男と女の壮大な物語を、それぞれの世代を演じる俳優のフレッシュさと美しい映像で綴られた感動作である。
デビュー作『きみに読む物語』でいきなりベストセラー作家となったニコラス・スパークス。本作は彼が立ち上げたプロダクションの第1作目となり、「初恋とセカンドチャンス」をテーマにしたラブ・ストーリー。ハイスクール時代の初恋と20年後の再会を交互に描きながら、二人が育んだ愛と、絶望の果ての運命の再会の意味が、徐々に解き明かされていく。そして、更なる運命が二人の絆を強くする衝撃的ラストに、もう涙が止まらない。
【STORY】
石油採掘基地で働くドーソン(ジェームズ・マースデン)は、大事故に遭うが奇跡の生還を果たす。冷たい海の中で彼が見たものは、美しい花が咲き誇る庭で微笑む初恋の人・アマンダだった。丁度同じ頃、自宅のプールサイドで息子と二人で星空を眺めるアマンダ(ミシェル・モナハン)。大学入学を控え不安がる息子に、「人類はずっと星に運命を尋ねてきたのよ」と、かつてドーソンに教えてもらった言葉で励ます。そんなドーソンとアマンダの元に、恩人タックの死亡の報せが届く。二人に遺産整理を託したタックの遺言に従い、故郷に戻った二人は20年ぶりに再会する。
犯罪の温床のような劣悪な家庭環境で育ったドーソン(ルーク・ブレイシー)は、給水塔でひとり過ごすような孤独な少年だった。ある日、学校で美しいアマンダ(リアナ・リベラト)と出会い恋に落ちるが、住む世界が違い過ぎると積極的になれない。やっとデートの約束をして、暗い日々に明るい光が差し込んだその時に、父親から暴力を振るわれドーソンは家出。逃げ込んだ家の主であるタックはドーソンの境遇を察知し、その後も家に住まわせ、アマンダとの恋を優しく見守り、さらに進学の応援までしてくれる。それはもう親以上の存在となっていった。ところが、ある不幸な事件のせいで、ドーソンとアマンダは泣く泣く別々の生き方をすることになる。
タックは、そんな二人を20年間ずっと心配してきたのだろう。ドーソンとアマンダにとって思い出のいっぱい詰まった別荘を二人に遺してくれたのだ。最初は素っ気なかったアマンダも、次第に若き日々の情熱が甦る。夏の光あふれる庭、二人が愛おしい日々を過ごした別荘。辛い別れ方をした二人にとって、癒しの場であり、和解の空間でもあった。アマンダの幸せを心から願っていたドーソンは、虚しい結婚生活を送るアマンダを救おうとするが……。
最初から最後まで「運命」に導かれるように生きるドーソンとアマンダ。ニコラス・スパークスの計算しつくされた物語はやや完璧すぎるが、若き日の二人と20年後の二人を違う俳優が鮮烈に演じて素晴らしい。特に、ドーソンの若き日を演じたルーク・ブレイシーの、陰のあるクールな表情が魅力的。20年後のジェームズ・マースデンとは全く似てないし、ハンサム過ぎる。だが、薄幸な若者のナイーブさが心に沁みて、強烈な印象を残す。一方、アマンダの若き日を演じたリアナ・リべラトも、ぷっくりほっぺに輝く青い瞳が美しく、一途にドーソンを愛する若い情熱が伝わってくる。20年後のミシェル・モナハンとはそう違和感はない。
20年後、生涯で最も愛した人と再会したらどうなるだろう? 今でも魅力的だったら? 劇中「どうして太ってハゲてないの?」と、増々逞しく魅力的になったドーソンを見てアマンダがつぶやく。確かに、変わり果てた姿だったら諦めもつくものを、こんなにセクシーな上に、「君以上の女性は現れなかった」などと言われたら、舞い上がるのも無理はない。それはドーソンにしても同じこと。エレガントな美しさがプラスされたアマンダを見て、「今まで待った甲斐があった」と思っても不思議ではない。ゴージャスな美しさのミシェル・モナハンと、悲しみを抱えた誠実なジェームズ・マースデンの大人の恋に、近年にない胸の高鳴りとざわめきを感じてしまった。
(河田 真喜子)
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