原題 | IL Caimano |
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制作年・国 | 2006年 イタリア |
上映時間 | 1時間52分 |
監督 | 監督・製作:ナンニ・モレッティ |
出演 | シルヴィオ・オルランド、マルゲリータ・ブイ、ジャスミン・トリンカ、エリオ・デ・カピターニ、メケーレ・プラチド、ナンニ・モレッティ |
公開日、上映劇場 | *テアトル梅田での上映日⇒8/24(月)・8/27(木)・8/30(日)・9/2(水) 連日10:00~ 《Viva!イタリアvol.2》2015年8月22日(土)~テアトル梅田、9月21日(月・祝)~京都みなみ会館、11月7日(土)(予定)~元町映画館 |
この邦題からは想像できないだろうが、映画作りの裏側が楽しめるナンニ・モレッティ監督の快作だ(2006年作品)。
ブルーノ(シルヴィオ・オルランド)は、タランティーノより先にB級映画のヒット作を飛ばしたプロデューサーだが、今は借金を抱え新しい企画の予算も縮小しなければならない。水槽に模型の帆船を浮かべてコロンブスの話を撮れと言われ、ベテラン監督は去っていった。RAI(イタリア放送協会)に出資してもらう話をする予定があるので急遽、別のシナリオを出す。それは「イル・カイマーノ」(これが原題)という作品で、ある回顧上映会に来た子連れの若い女性テレーザ(ジャスミン・トリンカ)から手渡されたものだった。イル・カイマーノとは何でも貪欲に食べるワニのことで、この脚本はベルルスコーニ首相を批判した〈社会派映画〉だった。
ブルーノと長く付き合っているスタッフは乗り気で、国会のセットをつくろうとか張り切っている。しかしキャスティングで、最初に決まった名優(ミケール・プラチド!)に降板され、やむなくピンチヒッターになったのはナンニ・モレッティ(役名は別)。ベルルスコーニには似てないけど、その嫌らしい言動はうまく演じている(さすがに左派モレッティの面目躍如!)。
映画製作の一方、ブルーノは家庭生活でも悩みをかかえていた。自分がプロデュースしてヒットした映画の女優パオラ(マルゲリータ・ブイ)と結婚し2人の子どももいるが、今は別居することに。
さて、短編しか経験のないテレーザを監督に映画はうまく出来るのだろうか…。
テレーザはレズビアンで女性同士の暮らし、子どもはオランダで人工授精して産んだとかいう設定もなにげなく取り入れて、テレーザたちの〈家庭〉とブルーノの〈家庭〉の対比も面白い。
モレッティ監督は、ベルルスコーニが出演した映像も使って、この独裁者のやりたい放題ぶりを辛辣に、かつ笑わせながら風刺している(首相在任中に作っているのだ!)。
ちなみにシルヴィオ・オルランドとマルゲリータ・ブイは「もうひとつの世界」(1999年)でも共演している。
(夏目 こしゅか)
*テアトル梅田での上映日
① 『フェデリコという不思議な存在』 ⇒ 8/22(土)・8/25(火)・8/28(金)・8/31(月)・9/3(木) 連日10:00~
② 『ただひとりの父親』 ⇒ 8/23(日)・8/26(水)・8/29(土)・9/1(火)・9/4(金) 連日10:00~
③『夫婦の危機』⇒ 8/24(月)・8/27(木)・8/30(日)・9/2(水) 連日10:00~
《Viva!イタリアvol.2》 (他にも、『フェデリコという不思議な存在』『ただひとりの父親』の上映あり)
2015年8月22日(土)~テアトル梅田(詳細は→コチラ)、
9月21日(月・祝)~京都みなみ会館、 11月7日(土)(予定)~元町映画館
公式サイト⇒ http://vivaitalia.link/