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『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』

 
       

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作品データ
原題 Mission: Impossible - Rogue Nation
制作年・国 2015年 アメリカ
上映時間 2時間12分
監督 監督・脚本:クリストファー・マッカリー
出演 トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペック、レベッカ・ファーガソン、ヴィング・レイムス、ショーン・ハリス、アレク・ボールドウィン
公開日、上映劇場 2015年8月7日(金)~全国ロードショー!  

 

★時代の闇とガチンコ!“捨て身トム・クルーズ”

 

時速400㌔で滑走路から飛び立つ軍用飛行機にしがみつき、一緒に飛び上がる…。こんなシーンをこれまで何度か見たが、大抵は“映画のウソ”。こんな危ないことは出来るもんじゃない。だけど、トム・クルーズは無茶をやってのける。並みいるアクションスターを抑えて、トムが頭ひとつ抜けているのは衆知の通り。冒頭の飛行機つかまり“飛び出しシーン”は元気男トムの存在証明と言っていい。


彼の大ヒットシリーズは60年代にテレビで一世を風靡した“スパイ大作戦”。映画では英国「MI6」諜報員ジェームズ・ボンドの「007」シリーズが早く、主役ボンドも何度か交代して、今もダニエル・クレイグ主演で続行中。今夏、トムのイーサン・ハント、冬にダニエルのジェームズ・ボンドが登場、“英米エージェント対決”も興味深い。
MIRN-sub4.jpgイーサン・ハント最新作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』は冒頭からいきなり見せる。今ならCGでも出来るはずだが、トムは8回も危険なリハーサルを重ね、あえてスタントなし、生身チャレンジして見せた。彼の“本気証明”には「ホンマようやる!」。
 

東西冷戦まっただ中で始まったボンド・シリーズと違い、現代のエージェント:ハントは「本当の敵が誰か分からない」難儀な世界に生きる。ストーリーも一筋縄ではいかず“現代の闇”が相手。アメリカのスパイ組織といえばCIAだが、ハントは対立組織「IMF」のエージェント。身分は不安定で、しばしばハントの暴走から危機を迎えもする。


今作は、ハントがCIA長官ハンリー(アレック・ボールドウィン)から聴聞会で査問されるところから始まる。長官はIMFを「諸悪の根元」と非難、組織の解体を命じる。ハントは独自に、多国籍スパイ組織“シンジケート”を発見、世界の危機を主張するが、主役の彼はなんと「国際手配の身」に。とんでもないハンディを背負ってスタートする。そこが組織(MI6)からエースと期待されて事件にあたるボンドとの違いだ。


MIRN-sub1.jpgアクション映画のストーリーを追うのは無意味だが、ポイントを抑えとくと、ハントが催涙ガスで眠らされ、拷問されかけた時、謎の美女(レベッカ・ファーガソン)が驚異の格闘術で救い出す。彼女は敵か味方か、不明なまま物語が展開する。彼女は何者か、が大きな魅力で、ポイントにもなる。スウェーデン出身の女優レベッカ・フアーガソンの身体能力も見逃せない。
 

これを皮切りに、見どころ連発。息もつかせぬ展開はさすが“スパイ大作戦”。続く場面が意表をつく。ウィーンの歴史的建造物、オペラハウスの舞台。オペラ『トゥーランドット』の名曲が朗々と流れる中、舞台裏ではスパイたちの息詰まる戦いが繰り広げられる。こんな格調高いアクションシーンは初めてだ。


  

★主役の動きが“アクション映画の真髄”

 

映画は誕生以来“動く絵”として多くのファンの人気を集めてきた。とりわけ観客は主役の動きに注目してきた。スクリーンの主役たちは疲れを知らぬ俊敏な動きや、軽妙かつ腹を抱える職人技で喝采を浴びた。古くはダグラス・フェアバンクスの剣術映画『奇傑ゾロ』(1920年)。目まぐるしいほど身軽な剣劇アクションは、今も現役フェンシング部員が参考にする“アクション映画の原点”だ。


チャップリンのコミカルな身体アクションと表情はすでに伝説。サイレント映画、例えば『チャップリンの黄金狂時代』(1925年)で空腹のチャップリンが自分の靴を料理して食べるシーン。彼の手と足、表情を見ているだけで「これが映画だ」と実感出来る。近いところでは香港のカンフー・アクション、ブルース・リーとジャッキー・チェン。日本ならやはり時代劇の阪東妻三郎『雄呂血』(25年)、大河内伝次郎『丹下左膳』(33年)に三船敏郎『椿三十郎』(62年)のど迫力殺陣はどうだ。『座頭市』(62年~)勝新太郎の居合い斬りは他の追随を許さない。主演スターが全身全霊、体を張ってアクションを見せることこそが映画の魅力に違いない。

MIRN-sub2.jpgかつて『マッド・マックス』(79年)のメル・ギブソンは「アクションスター50歳定年」説を唱えたが、53歳のトム・クルーズはそんな常識に挑むように限界を超えて見せる。自らプロデューサーも兼ね、毎回観客の期待を超える工夫は涙ぐましい。今作、ハントの離れ業の数々は一段と冴え渡る、エラいやっちゃ!


孤立無援のハントだが、007ボンドにも電撃フリント(ジェームズ・コバーン)にもない“財産”があった。“仲間たちの団結”だ。CIAに移籍していたベンジー(サイモン・ペッグ)と元IMF分析官のブラント(ジェレミー・レナー)、それにIMFの長老ルーサー(ヴィング・レイムス)がハントの危機を知って駆けつける。「個性派ぞろいの4人の結集」にプロデューサーは、「アベンジャーズに負けないチームクオリティがある」と胸を張る。

MIRN-sub3.jpgもはやおなじみ、ハントのロードチェイスは目を見張るばかりだし、“謎の美女”のバイクBMWの路地裏突っ走りも特殊効果なし。実写の迫真力は感動モノだ。時に「自分の足で突っ走る」トム本来の自前アクションも堪能出来る。極めつけはメモリスロット奪取のために厳重警備をかいくぐって「巨大給水タンク内」に潜るシーン。「まるで水中障害物コースのような施設」にもトムはポリシー通り“ホンモノ志向”、つまりスキューバ用具なしで挑む。「肺が破裂するほどのリアルな緊迫感を観客に与えられるか」どうか、だったという。いやまったく、息が苦しくなるほどの恐ろしい緊迫感だった。 


息詰まる緊迫シーンのジェットコースターとも言うべきトムの極めつけ。大作、話題作盛りだくさんな今夏の映画界だが、体を張ってハリウッドの底力を体現したトムの『ミッション:インポッシブル  ローグ・ネイション』に軍配か。体を震わせるようなテーマ曲が聴こえると、もう堪らない!

(安永五郎)


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