原題 | LOVE & MERCY |
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制作年・国 | 2015年 アメリカ |
上映時間 | 2時間2分 |
監督 | 監督・製作:ビル・ポーラッド |
出演 | ジョン・キューザック、ポール・ダノ、エリザベス・バンクス、ポール・ジアマッティ他 |
公開日、上映劇場 | 2015年8月1日(土)~ヒューマントラストシネマ渋谷、角川シネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、MOVIX京都、8月15日(土)~シネ・リーブル神戸、全国順次公開 |
~世界的な成功の陰に抑圧された心あり。彼を救ったのは誠実なひとつの愛だった~
洋楽ファンならずともいつかどこかで必ずや耳にしたことがある数々の名曲を世に送り出したアメリカのバンド、ザ・ビーチ・ボーイズ。夏の強い陽ざしにきらめく海、ダイナミックに波を渡ってゆくサーファーの姿にとても似合う音楽だ。しかし、そういう明るいイメージとは裏腹に、同バンドのリーダー的存在だったブライアン・ウィルソンは天才であったがゆえにいろいろと大変な重荷を強いられ、また、エグい輩に利用されたということを、この映画で知らされた。そのブライアンの歩んできた道の60年代と80年代にスポットを当て、二人一役というキャスティングでじっくり見せてくれる。
ザ・ビーチ・ボーイズは、ブライアンと、弟のデニスとカール、従兄弟のマイク、同級生のアルというメンバーで1962年にデビューし、矢継ぎ早にヒット曲を飛ばす。有名になり、ツアーが増えるなか、ブライアンの心身へのダメージが大きくなったため、彼はスタジオでの曲づくりに専念するようになる。だが、マネージャーであった父親との確執やメンバーとの意見の相違などもあり、プレッシャーに悩まされて次第に薬物に手を出してゆく。一方、80年代のブライアンの物語は、自動車販売店での出会いから始まる。セールスレディのメリンダは、ブライアンが著名人だと最初は知らなかったが、どこかユニークな言動を発する彼にとまどい、そして彼が大きな問題を抱えていることに気づく。“ブライアンを助けるために”常に同伴している精神科医ユージンに疑問を持つようになったメリンダはやがて勇気ある決断を下すのだ。
常に頭の中で音楽が鳴っているという天才肌のブライアン・ウィルソン。人は才能に恵まれたいと願うが、才能は生かされてナンボのもの、潰されてしまわない強さも併せ持っていなければならないのだなあと実感。彼の場合、潰されるのを食い止めたのがメリンダの愛だった。80年代のブライアンを演じたジョン・キューザック、60年代のポール・ダノ、双方とも好演が光る。怪しげな医師ユージン役のポール・ジアマッティは、こんなことが事実としてあったのかという驚きと憤りを促すほどのコワい存在感を放っている。エンドクレジットで、近年のブライアンの姿と歌声が流れるというおまけ付き。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://loveandmercy-movie.jp/
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