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『チャップリンからの贈りもの』

 
       

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作品データ
原題 La rancon de la gloire (英題:THE PRICE OF FAME)
制作年・国 2014年 フランス 
上映時間 1時間55分
監督 監督:グザヴィエ・ボーヴォワ 脚本:グザヴィエ・ボーヴォワ、エチエンヌ・コマール
出演 ブノワ・ポールヴールド、ロシュディ・ゼム、キアラ・マストロヤンニ、ピーター・コヨーテ他
公開日、上映劇場 2015年7月18日(土)~YEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸ほか、全国順次公開

 

~まさかの事件を映画化。弱者を描いたチャップリンに捧ぐ敬愛のエスプリ~

 

1978年、喜劇王と呼ばれたチャールズ・チャップリンの遺体誘拐事件が起こり、これは日本でも報道されたが、35年以上も経って、なんとこの事件をもとに映画が作られた。しかも、チャップリンのファンなら大いに喜びそうなエッセンスがたっぷり。笑って、ハラハラして、ほろっとして、幸せな気分になる、まさにチャップリン映画のテイストもしっかり取り入れられている。

chaplin-2.jpgスイスのレマン湖畔の町ヴヴェイ、刑務所暮らしから解放されたエディを、友人のオスマンが迎えに来る。オスマンはエディのために、自宅裏にバラック建ての小屋を用意してくれていた。だが、オスマンの暮らしは貧しく、妻は入院中。そこで、エディはオスマンの幼い娘サミラの面倒をみることにした。そしてクリスマスがやって来た。エディがオスマン一家へのプレゼント代わりにどこからか手に入れた古いテレビには、チャップリン死去のニュースが繰り返し流される。そこで、エディの頭に“グッド・アイデア”がひらめいた。チャップリンの遺体を誘拐し、裕福な遺族に身代金を要求しようというのだ。

chaplin-4.jpg飄々としたお調子者だが本根は優しいエディと、エディに乗せられたけれど芯は真面目で堅物のオスマン。この二人組がとんでもない計画を実行するのだが、予想外の展開が待っている。特に身代金の値下げをこちらから申し出るシーンは爆笑ものだ。社会的には弱者であるふたりの男とその家族、娘サミラの叶いそうにない夢や移民問題も絡み合い、見ているほうはいつの間にかこの犯罪者コンビに肩入れしてしまう。そうして最後に、思いがけない“チャップリンからの贈りもの”が届くことを知った時、ほっと心が柔らかくなるのだ。

chaplin-3.jpg映画音楽の名匠ミシェル・ルグランによる美しい音楽やチャップリン映画の名シーンを味わいつつ、チャップリンへの大きなオマージュをしっかり感じ取った。ちなみに、邸宅や墓地がロケ地として提供され、孫娘のドロレス・チャップリンがチャップリン未亡人役で出演するなど、遺族の全面的な協力を得て本作が完成されたというのも、心温まる裏話である。

(宮田 彩未)

公式サイト⇒ http://chaplin.gaga.ne.jp/

©Marie-Julie Maille / Why Not Productions