原題 | MAD MAX: FURY ROAD |
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制作年・国 | 2015年 アメリカ |
上映時間 | 2時間 R-15 |
監督 | 監督・脚本・製作:ジョージ・ミラー |
出演 | トム・ハーディ、シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、ヒュー・キース・バーン |
公開日、上映劇場 | 2015年6月20日(土)~新宿ピカデリー・丸の内ピカデリー他2D/3D & IMAX3D 全国ロードショー |
~ 120分ノンストップ爆走!! “マッドマックス”シリーズ最高傑作!ジョージ・ミラー監督、執念の渾身作~
「そう遠くない未来」から始まった『マッドマックス』(79)は、医学部出身のジョージ・ミラー監督のアクション映画への純粋な映像表現の再発見から生み出されたそうだ。核戦争や環境汚染により世界が崩壊し、暴力と恐怖で支配された世界が舞台。その後のSFアクションの世界観を変え、メル・ギブソンを一躍スターダムにのせた世界的大ヒットシリーズとなった。4作目となる本作は、2003年の製作発表以来、12年もの紆余曲折を経てようやく完成。今までのメタリックカラーの荒野が一変し、砂煙もメカも醜い人間たちも今まで見たことのない黄金色のビジュアルとハイスピードで荒野を爆走する。その美しい映像と迫力に身も心も持って行かれてしまった。
物語は極シンプルで、本能で生きているだけになってしまった元警官のマックスが、独裁者の元から逃走した女闘士フュリオサと“子産み女”たちを助けるというお話。途中には大砂嵐あり、他部族の襲撃あり、失望ありの決死の逃走劇。『マッドマックス/サンダードーム』(85) 以来27年ぶりとなる本作は、“マッドマックス”シリーズ最高傑作となった。CGを排した肉弾スタントマン飛び交うノンストップアクションの迫力もさることながら、メル・ギブソンの代わりにマックスを演じたトム・ハーディと、反乱を起した女闘士フュリオサを演じたシャーリーズ・セロンの、悲しい過去を引きずる悲哀に満ちた表情が物語に深みをもたらしている。
それは、ニコラス・ホルト演じる短命ニュークスや妖精のように美しい5人の“子産み女”たちも、荒野を生き抜いてきたおばさんたちも、それぞれ個性的なキャラで存在感を示す。汚染されていない種子の入った鞄を大事そうに抱えていたおばあさんの最期を見届け、その鞄を引き継ぐ“子産み女”。そうした短いシーンでも人間性を描き込むことで、荒廃した世界の果てにも希望があることを示している。こうしたジョージ・ミラー監督の本作に込めた想いが随所に散りばめられているのも大きな魅力だろう。
“子産み女”たち以外はボロボロの汚い出で立ちで、さらに暴力と恐怖で人々を支配する“ジョー”や白塗りのボーイたちは母乳や健康な人間の血液を糧とし、異様な形相をしている。シャーリーズ・セロンは、丸刈りに顔半分を黒く塗り片腕のない女戦士の恰好だが、これがまた頼もしくて美しい!トム・ハーディも、顔に鉄の輪っかをはめられボロボロの泥だらけだが、輪っかを外してフュリオサとアイコンタクトとる時の表情がいい!初めてトム・ハーディがハンサムに見えた。
当初オーストラリアの砂漠で撮影予定だったが、異常気象による大雨で砂漠が緑化してしまい断念。そこで、アフリカはナミビアのナミブ砂漠(世界自然遺産)で撮影を敢行。4か月以上に及ぶ長期ロケに加え南アでの追加撮影後、砂漠の原状回復に3ヶ月もかけているというから、半端な製作費ではなかったことが窺われる。製作発表から12年、何度も製作中断し完成が危ぶまれていたが、ようやくジョージ・ミラー監督(70歳)の執念が結実。1本の映画の公開がこれ程重く感じられたことはない。荒廃した近未来をさまようヒーロー“マッドマックス”に寄せる想いは、次回作への期待となって大きく膨らんでいく。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://www.madmax-movie.jp/
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